こんなサイトを見ています。
ひんぱんに訪ねるサイト
極右から極左まで、メインストリームとかエスタブリッシュメントとか呼ばれるメディアでは取り上げない投稿を大量に掲載。索引が充実しているので、小見出しと日付をコピペしておけば、かなり後になってからも再訪することができて便利。
主宰者の論説は、正直なところあまりおもしろくないが、毎日更新される「Breaking News/Best of the Web」欄が、各分野の重要ニュースを、メインストリームからかなり特殊分野のサイトまで網羅してリンクしているので、重宝する。ただ過去のニュースの検索はZero Hedgeほど楽にはできない。
金融・小売り・自動車・飲食娯楽中心の経済情報と、ほぼ一貫して同じ線が太く見分けやすいグラフのレイアウトに特色。古典的な財政規律重視派で、当然のことながら世界各国の政府・中央銀行に批判的。
このサイトのスター論客、ジェフリー・スナイダーの「現代の通貨制度は不換紙幣本位制ではなく、米国債を担保に海外に滞留したユーロダラーを借りることによって、マネー創出機能を果たす、ユーロダラー本位制に変質している」という主張は、傾聴に値する。
ランス・ロバーツを中心に、「長期分散投資の安全性」という神話のウソを懇切丁寧に教えてくれる。アメリカ株投資の実践的なガイド役としては最適かもしれない。ただし、もちろん投資は自己責任で。
おそらく2017年春に発足した比較的新しいサイトだが、毎週月曜から金曜まで1本ずつのエントリーで、分かりやすいグラフを使ってアメリカ経済全般と金融市場について解説している。ヨーロッパ経済・金融市場や、アジア経済・金融市場についても同様のサイトがあればいいのだが、なかなか見つからない。
時おりのぞくサイト
明るく、率直で、楽天的といった能天気なアメリカ(人)観を抱いている人にはぜひおすすめしたい。今や政治的に正しくないニガーという言葉を使っているので禁書となってしまった『ハックルベリー・フィン』ではあこがれの町として描かれ、甘いメロディにめそめそした感傷的な歌詞が多くて、アメリカ国民にはあまり好かれていないスティーヴン・フォスターが珍しく勇壮な男声合唱向きの歌曲として書いた『カイロに行こう、そこが墓場』の舞台ともなった町がカイロだ。オハイオ川とミシシッピ川の合流地点という北米大陸最大の河川交通の要所でありながら、すさまじい人種差別によって自滅していった姿を描いた「イリノイ州カイロ、人種差別で没落した町」(2020年2月改訂)は圧巻の長編エッセイだが、英語が読めなくても多くの写真を見ているだけで、メッセージはひしひしと伝わってくる。
アフリカ系アメリカ人の歴史についての研究ガイド的なサイト。他のさまざまなサイトへの案内も充実している。「インターナショナル・スィートハーツ・オブ・リズム ジャズ・バンド」などという古いジャズに相当くわしいファンでもご存じなさそうなバンドに関する投稿も載っている。ただし、1900~30年代の黒人ジャズメンの活躍に関するサイトへのリンクをクリックすると「リンク先のサーバーが見つかりません」というエラーメッセージが出てしまう。
なんとも大きく出たタイトルだが、1929年代大恐慌や1930年代大不況に関する記事を見ると、アメリカ国民のあいだでフランクリン・D・ローズヴェルトに対する崇拝の念がいかに強烈か、よくわかる。
日本では世論調査機関というとギャラップばかりが名高い。だが、比較的リベラル系のギャラップと保守系のラスムッセンとのあいだで、中立の設問をしていると思えるのが、このサイトだ。ただし、アメリカの一般国民にとって「中立の設問」といえば、平然と「キリスト教徒にあらざれば人にあらず」といった趣旨の質問もふくまれることは覚えておいたほうがいい。
「ロビイング規制法」という名の贈収賄奨励法が可決された1946年以来、アメリカの政治・経済・社会がいかにカネまみれの腐敗堕落を重ねていったかを、具体的なデータにもとづき克明に立証している。なおタイトルは「帳簿を見せろ」という意味。
クラウドファンディングを効果的に使えば、「ロビイング規制法」のもとでも、貧者の一灯が大富豪の巨万の富を打ち負かすことができると主張している点で、残念ながら悪質な幻想を振りまいているとしか言えない。「中東・アフガニスタンからの即時無条件撤兵」と「中国共産党一党独裁政権の解体」を外交の2本柱にしているトランプより、軍産複合体と密着したシアトル閥のマイクロソフトやボーイングの支持を受けたバイデンを無邪気に応援しているのも、その証拠。ただ発掘してくるデータはアメリカにおける合法的贈収賄の実態をよく表現しているものが多い。
世論調査各社の選挙予想よりほぼ一貫して精度の高い予測を出すのが、どちらが勝つかに身銭を切って賭けた人たちが当たったときの配当から当選確率を逆算しているこのサイトの配当率(オッズ)推移チャートだ。もちろん、それだけではなく、通常の政治関連記事も多い。圧倒的に国内政治中心だが、だからこそ、「アメリカのティーンは宗教的には親を見習って、きちんと教会に行き、家族内の宗教儀礼を守るように育っている」といった、当たり前だがふつうのメディアには載らない記事も読める。
思想的には「人民武装権」こそ平等な民主主義の基礎という頑固派右翼だが、民主党リベラル派の偽善を暴く筆鋒は鋭い。ウィスコンシン州ケノーシャでの警察官による黒人銃撃とその後の暴動についても「BLM派は犠牲者ぶるのをやめよ」と言いながらも、「衝突している双方が犠牲者で、民衆を操作しているほんとうの悪者は対立を先鋭化させながら、陰でほくそ笑んでいる」と、まっとうな洞察をしている。タイトル冒頭の金関連のエントリーは意外に少ない。
イギリスの労働党系新聞『The Guardian』があまりにも大手メディア化してしまったことへの反発から出発。これも大英帝国の遺産というべきなのだろうが、ナレンドラ・モディ現インド政権のグロテスクさを綿密な取材で描き出すなど、世界的視野に立った投稿にいいものが目立つ。コロナウィルス騒動については、一貫して過剰反応を批判してきた。
これも比較的新しいサイトだが、2世紀にまたがる長期投資でクォンツの技術とファンダメンタルズの把握を両立させる「クォンタメンタル」投資を標榜。意欲が先走っている感はあるが、データを超長期で取っているので主張の根拠を確かめやすい。「5年前は中世、10年前はもう先史時代」という短期的視野しか持たない日本の投資顧問会社などは大いに参考にする価値があるだろう。
サイトのタイトルとURLがまったく違うのでなかなかたどり着けない人もいるが、写真と文章との対比が絶妙。経済的な現状認識と文明論的な背景を結び付ける努力をしている。
サイトのタイトルが平凡なうえに漠然としすぎていて損だが、主宰者ネイザン・ルイスはジェーン・ジェイコブズ直系と言うべき、ごちゃごちゃ密集した不揃いな街並みの賛美者だ。「ポスト英雄時代の物質主義」というサブカテゴリーでは、日本の大都会ならどこにでもある賑わいのある街並みと、アメリカの駐車場ばかりが索漠と広がる味気ない風景との対照を的確に写真を数多く掲載している。
正統派オーストリア学派の論客ピーター・タネブレイラム主催のサイトだが、最近ほとんど自身の投稿がなく、他人の投稿にコメントをつけるだけになってしまったのはさびしい。ただ、時おり自筆の投稿を読むと、さすがと思わされる鋭い観察がある。
形式的には、いかにもありがちな毎週平日に更新される金融市場コメンタリーだ。しかし、文章のそこかしこに、主宰者の、「イギリス人」ではなく、アダム・スミスやデイヴィッド・ヒュームの伝統を引くスコットランド人気質が感じられて、楽しい。
Morning Porridgeとよく似た市場コメンタリーだが、あちらがいかにも英国風に文章主体、こちらはいかにもアメリカ風にチャート主体と、国民性が出ていておもしろい。とかくチャート分析は「鰯の頭も信心から」的な意味のわからないご託宣が多い。だがこの人の見せるチャートには説得力がある。
メインタイトルで検索すると多種多様な窓口が並んでいて、必要なデータを探しにくい。だが、dshort.comでリンクすると、一発で「チャートと分析」というサブカテゴリーに飛べて、便利。このサイトの特色は、かなり厳選した統計資料を毎月確実にアップデートしていること。そこで「アメリカの成人1人当りガソリン消費量推移」などを長期で追うと、アメリカでさえ完全に「クルマとエネルギーと製造業の時代」は終わったことが実感できる。
これもかんたんに分類してしまえば右翼系サイトだが、袖に一瞬も休まず第2次世界大戦後のアメリカが関与した戦争の累計コストをアップデートする欄があったりして、ただの右翼ではない気骨を示している。毎週金曜日の名物だった『ウォルマートの奇妙な人々』という写真特集は、今では『People of Walmart』として独立させている。アメリカ社会の荒廃を知るためには一見の価値あり。
フィンランドの経済分析サイト。「フィンランドも日本同様、第2次世界大戦を枢軸国側で戦い、戦後国際社会から追放されていた状態から、高度成長で国際社会に復帰できたところまでは同じだった。ほぼ同時に国内で大きなバブルが崩壊したが、日本はそのまま長期低迷に陥り、フィンランドは成長軌道を回復した。それはなぜか……」といった、日本人には興味深々のしっかりした論文を掲載。フィンランド語のできない人には英語版を意味する/en/付きのリンク先がおすすめ。
フィンランドの金保管業者が運営している金と経済・金融市場に関するサイト。いろいろな業務関連のサブカテゴリーがある中で、「Insight」のサブカテゴリーをクリックすると、リサーチが出てくる。「COMEX金先物市場ではデータを操作しているか」といったきわどい疑問にポジショントークなしで率直な回答をしている。GnS Economicsといい、Voima Goldといい、フィンランドあなどるべからず。
こちらはシンガポールの貴金属取引業者の運営する金に関する情報サイト。場所柄か、スイスの精錬業者から中国への金現物の輸送量に関する分析が鋭い。一方、英米、そしてスイスの金関連の情報サイトには、どうもポジショントークの匂いが付きまとう。
しょうもない憶測記事も出てくるが、ときどき貴重な情報も掲載されるエネルギー産業全般に関するサイト。最近のグリーン革命ブームに便乗したCO2排出量削減をめぐる記事には、熱力学の基本を無視したでたらめなエントリーも多いので、要注意。
「エネルギー消費量の拡大なしには経済成長なし」という英米石炭・石油帝国主義の発想をもろに受け継ぐエネルギー専門サイトの典型。主張には全く賛同できないが、基礎データは丹念に収集しているので、資料的な価値は高い。
なおエネルギー資源、金属資源一般に関するサイトとしては、『SRSrocco Report』が出色の内容だが、最近ほぼ全面的に有料化してしまった。残念。
「人為的地球温暖化危機説」に反対する自然科学者たちが結集したサイト。太陽光発電装置がいかに直接的な環境破壊をしているかなどについて、明快に分析。
著名な経済学者や経済アナリストのサイトには、がっかりするほど凡庸な内容のものが多い。その中で、エド・ヤルデニが主宰するこのサイトは、マシなほうだろう。ときどき、貴重なデータの入った論説が掲載される。
逆にこちらの主宰者は匿名だが、経済学ばかりか、歴史や進化論、ゲームセオリーにもかなり造詣が深く、エントリーが更新されるたびに学ぶことがある。玉に瑕は、ほぼ2カ月にいっぺんの優雅なペースで、ときには半年まったく更新されないこと。
暗号通貨関連サイトにはあまり良い情報源となるものがない。ここは、少なくとも網羅的にさまざまな情報を収集しているところが取り柄か。
純然たる趣味のサイトもひとつだけ。タイトルを見るとジャズ中心だが、カバー画面のリンク先を見ると、ほんもののブルースアーティストが非常に多い。ハディ・レッドベリー、ビッグ・ビル・ブルーンジー、ベッシー・スミス、ロニー・ジョンソン、ブラインド・レモン・ジェファーソン、マディ・ウォーターズときら星のごとく並んでいる。いちばん「このサイトに巡り逢えて良かった」と感激するのは、ブルースファンではないだろうか。
「日本語サイトは完全に無視しているのか」とご不審の読者もいらっしゃるかもしれないので、そうでない証拠をふたつ。
万年低位安定で、ほとんどだれも関心を持たなくなってしまったようなCRB商品市況指数やバルチックドライ海運指数を根気良く、観察しつづけているところが、センスがいい。本当の危機の時代には、こういうだれも見なくなってしまったような指標が異常な乱高下を示すものだ。主宰者が2007年にズバリ予想した世界恐慌は、2007~27年の21年間続く21世紀大不況として実現しつつある。
「投資部門別株式売買状況」を毎月アップデートしてくれるのは、ありがたい。これだけでも、月に一度は訪ねる価値あり。ただ「菅内閣誕生のご祝儀相場で今週も続伸か」という日経平均予想はまったくいただけない。この主宰者は、最近の先進諸国の株式相場は密接に連動していて、米株大暴落の最中に日経平均だけが上げるわけがないことさえご存じないのではないか。これも主張には全く賛同できないが、基礎データは丹念に収集しているので、資料的な価値は高いサイトのひとつ。
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