衆参国政選挙で3戦全敗 危うし、自民党長期政権
今日はめったに話題に取り上げない日本の政治について書こうと思います。
自民党、衆院1、参院2の3選挙区で全敗
いずれも参院の長野、広島選挙区では自党候補を立てての敗戦です。衆院北海道2区では、ある意味で長野・広島より悪く、候補も立てられないままの不戦敗です。
自党の現職議員が在宅起訴されたというようなときには、公明党候補を立てて脇役に回るという手もあります。ですが、「沈没しそうな船からはネズミがまっ先に逃げる」ということわざにもあるように、そろそろ連立から離脱しそうな公明党の候補を擁立して、公明党の議席数を増やしたくないという思惑もあったのかもしれません。
ご覧のとおり、長野は現職の立憲民主党議員の死去にともなう補欠選、つまり弔い合戦で不利だったという言い訳も成立するでしょう。でも、広島は自民党議員の大半があきれるほどカネをばら撒いて、一時は参院議員の座を「買った」河井案里議員の当選無効による再選挙でした。
もともと、第二次世界大戦直後の広島は世界で最初の原爆を投下された場所として、左翼系の運動が強かった土地柄です。その空気を打破して保守王国に変えたことについては、旧大蔵官僚としては珍しいほどの野人ぶりを発揮して、民間主導の高度経済成長を邪魔しなかった池田勇人首相の力が大きかったと思います。
その広島選挙区で、「結集ひろしま」から立候補した政治家としての実績はほぼゼロのフリー・アナウンサー宮口治子氏が、ひたすら「政治とカネ」に論点を絞って選挙戦を闘い、当選してしまったのです。
今や自民党内にはほとんど残っていないリベラル派の重鎮を自任する岸田文雄政調会長の威信にも、かなり傷が付くでしょう。ただ、前回参院選の候補者選びで、自党県連の意向を押し切って、全身これ利権のかたまりといった風情がにじみ出ている河井案里氏を強引にねじ込んだ菅義偉首相の指導力低下は、覆い隠しようもないでしょう。
日本は利権政治のスケールもチマチマした素晴らしい国
私が今回の結果を見て、ほんとうに嬉しく思っていることがあります。それは、衆院北海道2区でも、参院広島再選挙でも、不正をやって当選した議員を出した政党を負かすという、まっとうな倫理観を持った有権者が多いことです。
もちろん、全部が全部そうではありません。たかだかベンツ1台分のワイロに転んで次期首相候補の座を棒に振った、アマリ良くないというよりアマリにも頭の悪い元経産官僚の自民党議員は、ちゃっかり復活しています。
ただ400~500万円という少額で国政の要職にある人物を買える日本は、贈賄側にとって非常にお買い得な国です。利権政治の東西両巨頭、中国やアメリカではお抱え運転手のチップ程度にしかならない金額でしょう。この程度の金額を受け取っただけで少なくとも当分自民党総裁候補になる目が消えたのは、健全なことです。
今ごろになってやっと「中国べったり」から脱却しようともがきはじめた、日本経済新聞は、そのへんの事情をほんの少しでもわかっているのでしょうか。下にお目にかけるような教科書どおりの図式を、仰々しく署名論説記事に書く人を外交・安全保障コメンテイターとして雇っているのを見ると、そうでもなさそうです。
「日米は民主主義を共有」とか、「中国は一党支配体制」とかは、全部絵空事です。米中とも地位も名声も政治権力もカネで買える世も末の国です。利権資本主義か、利権社会主義かという違いは、薄皮一枚の差に過ぎません。資産を溜めこむのが先か、政治権力を握るのが先かという順序が違うだけです。
考えていることは顔付きに出る
日米中3首脳の顔を見ただけで、悪の巨魁と小悪党の差がかんたんに確認できます。
左の中国の国家主席、習近平は国家主席に就任するはるか以前から、自分がどこを見ているのか、すぐそばにいる人にも絶対に悟らせないような目つきをしていました。熾烈な党内権力闘争を勝ち抜く中で磨き抜いた保身術でもあり、威嚇術でもあるのでしょう。
まん中のアメリカ大統領、ジョー・バイデンは大統領就任前と就任後でまったく顔つきが変わりました。2020年選挙戦最中の、現職ドナルド・トランプとのテレビ討論では、自分が何について話しているか忘れるたびに眼が泳いでいたのに、トランプの不規則発言に救われてやっと話題を思い出すていたらくでした。
ところが、今ではすっかり自信がついたのか、権力者らしい自分の視線をうかがわせない顔に変わっています。大事な金ヅル以外なら、どんなに大きな恩義を受けた人間でも平然と切り捨てる目つきです。
右の日本国首相、菅義偉はいまだにハトが豆鉄砲を食らったような顔で、ひんぱんに眼が泳いでいます。「トカゲの尻尾切り」ならぬ「尻尾のトカゲ切り」で首相に成り上がったことを、まだ苦にしているのでしょうか。それでは小悪党止まりで、悪党の親玉にはなれないでしょう。
そこで日本中の良心的な右翼、保守派のみなさんに質問があります。いつまでこの「首相の座」は明らかに荷が重すぎる小悪党を支持するおつもりですか。
コメント
縄文、弥生から戦後。
広島の勝てるはずが無い選挙。どうも文化の転換が近づいて来たようだ。広島の「新しい党派」づくりは必然性がありましたね。勇気、元気だけが印象的です。
やっと日本の政局も動きはじめた感じですね。未開以上、文明未満の平和な時代を一万年超維持していた縄文人の知恵に学びたいと思います。