クルマ社会はスペースを浪費する 勉強会予告

こんにちは 
今日は、自動車しか頼れる交通機関がなくなってしまった社会が、どんなに荒廃するものかをお伝えしようと思います。

まず、次の2枚組写真をご覧ください。


左側は、おそらく新興国の大都市に向かう高速道路とその高速沿いの高層住宅群のあいだに、ほとんど無理やりねじこむようなかたちで高速道路の車線増加の工事をしている場面だと思います。

1~2階の下駄履き店舗だけではなく、おそらく4~5階までは1日中陽の当たらない不健康な住居になってしまうでしょう。

ラッシュ時の騒音は当然ですが、たまには深夜に高速道路を爆走するエンジン音が聞こえて寝苦しいこともあるでしょう。

でも、現在アメリカの低層戸建て住宅ばかりがべたっと並んでいる地域に住んでいる人の中には、郊外低層住宅地に住むくらいなら、この陽当たりや騒音によって環境はかなり劣悪で、ひょっとしたらたまにクルマがつっこんでくるかもしれない高層住宅のほうが、郊外低層住宅地よりはマシだと思っているのでしょう。

あるいは昔そういう地域に住んでいたが、今は都心や田舎に引っ越したという人で「とにかく2度とあんなところには住みたくない」と思った人の感想かもしれません。

右側は、典型的なアメリカの郊外低層戸建て住宅専用地域の空中からの俯瞰写真です。

空から見れば、精緻なモザイク画のように見えて、それなりにきれいです。

でも、こんな地域でなるべく通過交通を避けるために、袋小路ばかりが細かく枝分かれしている場所に住んだときの日常生活を想像してみてください。

直線距離なら200~300メートルの場所に移動するにも、延々と細い袋小路から袋小路へとクルマで行くしかないでしょう。

そして、ほとんどの家は、直線距離でも1~2キロ離れた所にしか商業施設が何もない立地になっているのです。

成熟した住宅地でもこうなのですから、新興住宅地となるともっと悲惨です。


たまたま、アメリカ国内ではなく、カナダの首都オタワ近郊の新興住宅地を選びましたが、殺伐として日常生活の利便性をまったくと言っていいほど考慮に入れていないことは明白です。

この地図には赤の太線で縦2.9キロ、横4.6キロの長方形が示してあります。

この長方形の中に、東京都内なら、どれくらい多くの日常生活のための施設が盛りこまれているか、おわかりでしょうか

もちろん、その答えはお手元の地図に縮尺に合わせた長方形を当てはめてご自分で確かめてみることもできます。

今週の土曜日、7日に投稿予定のユーチューブ録画で、正解をお知らせしますので、そちらをご覧いただくこともできます。

また、どうしてクルマを唯一の交通手段として絞りこんだ現代アメリカはこんなに悲惨な社会になってしまったのかについて歴史的・経済的・社会的背景を通観する『クルマ社会 7つの大罪 増補改訂版――自動車が都市を滅ぼす』が、9月上旬に刊行の予定です。

ご興味をお持ちでしたらぜひお読みください。

読んで頂きありがとうございました🐱 ご意見、ご感想お待ちしてます。

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