どう考えても不思議だった今年のアメリカ住宅市場の活況
こんにちは
今日は、2021年のアメリカ住宅市場がなぜあれほど活況を呈していたのかという謎に迫ろうと思います。
ローンを組むのはかなりむずかしかった
のに着工はローンバブル期以来で最高
まず、アメリカの新築住宅の着工数が、サブプライムローン・バブル崩壊後では最高だったことから、確認しておきましょう。
まず上段からご覧ください。
共同住宅はコロナ禍が始まった2020年春に乱高下したあとほぼ横ばいだったのですが、戸建て住宅はそうとう大きく伸びて、サブプライムローン・バブルがはじけた2008年以降では最高の戸数となりました。
なぜこれが異常な好況だったかというと、下段でおわかりいただけるように住宅ローンを組むのはやさしいどころか、むしろむずかしい時期が続いているからです。
サブプライムローン・バブルの絶頂期には900近くまで上がっていたローン取得難易度は、大底の2009年には100を切るところまで下がっていました。
その後徐々に持ち直して、コロナ禍勃発以前には200強まで回復していたものが、コロナ騒動で120くらいまで下がったままで推移しているわけです。ローンを組むのは、2017~19年あたりに比べて、かなりむずかしくなっています。
それでも新築住宅は売れ残って在庫が増えるどころか順調にさばけています。下のグラフ上段でご覧いただけるとおりです。
中古住宅になると、非常に品薄感が強くて在庫がどんどん減少しています。2012年には売上7か月分あった在庫が、直近では2か月分よりちょっと多い程度まで減っています。
おかげで、今年の戸建て中古住宅の価格は、新築とほぼ同額というところまで上昇しました。
とにかく、中古住宅の売れ行きは好調で、現在売り家と登録されている中古住宅の数は、全米でわずか100万戸程度と異常な低水準です。
また、仲介業者が「売り家ですよ」と情報を流してから成約にいたるまでの期間もどんどん短くなり、2017年の約60日が直近では20日強と半減以下になっています。
しかも、新築住宅の価格も大幅に上昇しているのに、中古住宅はそれ以上に大きく値上がりしているのです。
今の新築住宅価格はサブプライムローン
・バブルがはじけたころより6割も高い
2007~09年のバブル期では、新築住宅の価格が25万ドル(約2900万円)を超えたころから売れ行きが激減に転じました。
2020年末から現在にかけての新築住宅価格の上昇ぶりはすさまじく、30万ドル(約3400万円)から40万ドル(約4600万円)へと、1年で3割以上も上がっています。
前のバブルが崩壊したころに比べれば6割も高くなっているのです。
さすがに、40万ドルを目前にしたころの年率換算で100万戸という売れ行きに比べれば、約60万戸とかなり大きく調整しましたが、前回の140万戸から30万戸前後へといった大崩れはなさそうです。
建築コストもコロナ騒動勃発以降けっこう急激に上がっているので、住宅業者もむやみに着工数を増やしていなかったので、調整もまた小幅にとどまっているという見方もできるでしょう。
それにしても、中層以下のアメリカ世帯の年収は、とても前回のバブルのころの6割増しにはなっていません。おそらく横ばいから微増程度でしょう。
それなのに、住宅市場がこれだけにぎわっているのは、いったいなぜでしょうか?
表面的にはアメリカ全土でまんべんなく
住宅価格が上がっているように見える
アメリカは非常に住宅地差別のきびしいところで、日本の郵便番号に当たるZIPコードだけで、住んでいる人の年収や教育水準までわかると言われています。
そして、過去30~40年は中西部のオハイオ州、インディアナ州、ウィスコンシン州などのいわゆるラストベルト(錆びついた工業地帯)の地価や住宅価格は、派手なバブルが膨らんでいた時期でも低迷を続けていました。
ところが、今回の住宅ブームの特徴は、全米のすべてのZIPコードのうち約98%で住宅価格が上がっているということなのです。
ただし、この好況が決してだれもが儲かるような単純なものでないことは、下段のズィロウ社の大失敗を見てもわかります。
ズィロウ社はアメリカ住宅仲介業界の大手ですが、こんなに景気がいいのなら仲介手数料で満足せずに地価や住宅価格の上昇分まで取りこもうとして、中古住宅の買い取り転売業務を急拡大しました。
ところが、今年の4~9月の半年で過去2年間に買い取った戸数より多くの住宅を買い取ったのに、売れたのはその3分の1程度にとどまり、大赤字を出してこの分野から撤退、多くの人員を削減する羽目に陥りました。
どうもアメリカの住宅市場は、見かけほど好調ではなさそうです。そのへんの事情は、次の2枚組グラフにもはっきり出ています。
ご覧のとおり、住宅建築業者はサブプライムローン・バブルのころより強気です。でも、消費者の住宅購入意欲は、コロナ騒動での大幅な下げの半分程度を戻しただけで、相変わらずやや慎重な水準にとどまっています。
プロである住宅建築業者と、しろうとである消費者のどちらが正しい見通しを持っているのでしょうか。私は消費者のほうだと思います。
上段のグラフでおわかりいただけるように、去年の秋ごろから住宅価格は急騰し、現在の価格水準で家を買った消費者はその後かなり長期にわたって高いローン返済負担を余儀なくされることになります。
サブプライムローン・バブルの渦中で大きな損失をこうむった世帯だけではなく、アメリカ国民全体が、2009年以後は住宅取得に慎重になっていました。
下段のグラフが示すとおり、賃貸住まいでの家賃負担より軽いローン負担なら買うというスタンスを維持してきたのです。
分譲住宅を供給する側としては「もう10年以上低迷しつづけてきたのだから、そろそろ活気づいてくれなければ困る」という強気なのでしょう。
でも、コロナ騒動をきっかけとしたロックダウンや在宅勤務の奨励などで中小零細企業の多い都市部のサービス業は深刻に傷んでいます。
これからは、直接被害を受けたこうした業種の企業や勤労者だけではなく、二次的、三次的な影響が出てくるはずです。
「もしかしたら現在の職を失い、次に就ける仕事の給与水準は今より低くなるかもしれない」というときに長期にわたるローン返済にコミットしてしまうのは危険です。
ただ、これまでは比較的安定していた家賃負担の所得に占める比率も、今後は必ずしも同水準にとどまるとは言えなくなってきました。
家賃上昇カーブが、これまでの季節変動をふくみながらのゆるやかな上昇から、持ち家価格と同じような急上昇に転換する気配が見えるからです。
なぜ、実体経済の景気は決して好調とは言えないのに、分譲住宅価格も家賃もここにきて値上がり率が加速しているのでしょうか?
背景にあるのは世帯規模
の縮小=世帯数の増加
ここで、一見相互に矛盾するような上下2段のグラフをご覧いただきましょう。
まず上段は両親と同居しつづけている18~34歳層の人たちの比率です。2010年代に入ってから30%台に定着し、今も約33%と高止まりしたままです。
こんなに親元を巣立って新しい家計を営む人が少なくなれば、世帯形成数も少なくなりそうな気がします。ところがそうはなっていません。
下段は、毎年の世帯形成数と、その3年移動平均を示したグラフです。コロナ禍のピーク期に激増したり、その後反動でマイナスになったりしましたが、3年平均で見ると年率で150万世帯を超え、サブプライムローン・バブルのピークだったころよりやや高めです。
次の2枚組グラフでおわかりのように、持ち家率も高水準にとどまり、貸家の空室率にいたっては史上最低に近いところまで下げています。その最大の理由は、おそらく世帯数が増加していることでしょう。
でも、若い人たちがあまり親元を離れなくなったのに、なぜ世帯数は順調に伸びつづけているのでしょうか?
アメリカは日本よりはるかにコヴィッド-19の被害が大きかったこともあり、コロナ禍で都市のロックダウンもはるかに厳格に実施され、在宅勤務も大いに奨励されました。そのため、家族そろって家にいる時間が長くなりました。
その結果、ドメスティックバイオレンスや殺人、暴行傷害といった事件が増えていることはたびたび報道されますが、離婚率が増加したとか籍を入れていなくても同居していたカップルが別々に暮らすようになったというニュースはあまり聞きません。
ただ、コロナ以前から黒人世帯、ヒスパニック世帯、そして学歴が高卒以下で所得も低い層の白人世帯のあいだで、家族崩壊はかなり深刻になっていました。
仲がいいからいつも一緒にいるというわけではなく、家にとどまることを強いられた状態で長時間一緒に暮らすということになると、ストレスも溜まるでしょう。
その結果が、今まで1世帯だった人たちが2世帯として暮らすようになり、持ち家も貸家も好調ということになっているのではないでしょうか?
もしこの推理が正しいとすれば、アメリカの中層以下の国民は1人当たりで見ればかなり激増した家賃やローン負担をこなすために、ほかの分野での出費をかなり削減しなければならないはずです。
それもまた、アメリカ国民一般の生活がすさんでいく原因になっているのだと思います。
住宅価格も家賃も低い地方への
移住は有効な解決策となるか?
この負担増を軽減する方向への動きもあります。それは、住宅価格も家賃も高い大都市圏中心部から、地方都市や郊外へと移住する傾向に表れています。
ご覧のとおり、サンフランシスコ、ワシントン、シアトル、ボストンといった魅力ある都心部を持つ大都市は、軒並み去年末から今年初めの大底でかなり家賃が下がり、現在でもやっとコロナ前に戻した程度か、まだかなり下がった状態になっています。
一方、ネバダ、アリゾナ、フロリダの3州中心に、これまで比較的家賃の低かった中小都市では、コロナ禍の中でもほとんど家賃は下がらず、今年に入ってからは大幅に上昇して軒並み去年3月より30%以上家賃が上がっています。
大都市都心部に住んでいた富裕層が、リモートワークでオフィスに通う必要もなくなり、アフターファイブの娯楽もほとんどなくなったのでつまらないから、郊外や地方都市に移住するとしましょう。
その場合、都心部の高級賃貸住宅の家賃は下がるでしょうが、それ以外ではほとんどいいことづくめに見える現象が起きます。
都心部の持ち家を売るとすれば、めったに中古市場に出てこないようないい物件なので単価も高く、買い手がつくのも速いでしょう。
移住先では高級賃貸物件はほとんどないので高額住宅を買うか、自分で建てるかするでしょう。
都心の中古住宅市場も、地方の新築持ち家市場も取引額が急上昇することになります。
「都心では家に資金を貼りつけるのがバカバカしいし、管理も面倒だ」という理由で高級賃貸物件に住んでいた富裕層が移住する場合には、都心の家賃相場は下げるでしょう。
ですが、やはり地方の新築持ち家市場は大きく潤うことになります。
コロナ禍のどん底期に持ち家比率が急上昇したのは、こうしたケースが多かったからではないでしょうか。
ただ、この郊外や地方都市への移住という選択が正しかったかどうか、都心居住を捨てた富裕層は、後悔しているのではないかと思わせるデータも出てきました。
都会の利便性を懐かしんで
富裕層が都心部に回帰?
たとえば、次のグラフから、そうした兆候を読み取ることができます。
ニューヨーク市マンハッタン区の賃貸マンション家賃は、今年11月に過去最高の上昇率を記録しました。
さらに、賃貸マンションをドアマン付きのフルサービス物件と、そうではない物件に分けると、フルサービス物件は完全にコロナ前のピークを抜いたのに、そうでない物件はまだ抜いていないという大きな差が生じています。
徐々にレストラン、バー、娯楽施設などが閉場に近い営業を再開したニューヨークと郊外や地方都市のナイトライフを比べると、やはり都心が恋しくなって戻ってきたのではないでしょうか。
また地方都市や郊外で家を持ってみて、改めて管理を他人任せにしておける気楽さを再認識したかもしれません。
分譲物件にしても、インフレが急加速している中で、比較的値上がり率の低い豪邸、超豪邸は「今こそチャンス」と見た富裕層が積極的に買っている傾向が顕著です。
まず価格動向から見ていきましょう。
つまり、中心価格台では少しだけ値下がりしているのです。
郊外や地方の生活で退屈した元都心部居住の富裕層が戻っているだけではなく、こういう機会を待っていた人たちも、積極的に買っているのでしょう。それは、次の2枚組グラフでわかります。
400万ドル以上の豪邸の600戸から1800戸超への増加も大幅ですが、提示価格1000万ドル(約11億4000万円)以上の超豪邸にいたっては、100戸から400戸に伸びているのですから、大活況です。
住宅事情に限らず、アメリカは豊富な余裕資金を持って気長に待てる人には非常に優しく、ぎりぎりの生活をしている人には非常にきびしい社会です。
後戻りのできない移住をした中層
以下の人たちを待つ過酷な運命
気が向いたら引っ越すし、引っ越し先が気に入らなかったらまた戻ってくることができる富裕層は、どう転んでも悲惨な境遇には陥らないでしょう。
でも、都市生活の利便性はほとんど封じられ、「コロナは大疫病で、密集の中にいると危険だ」といった宣伝に負けて、なんとかやりくりして住み着いていた大都市圏を離れた中層以下の世帯は、ほんとうに大変です。
リモートワークでも差し支えないオフィスワーカーと違って、現場にいる必要がある仕事をしていて、郊外や地方都市に住み替えるために職場も変わっていたかもしれません。
そこで問題となるのが、広々とした大地にまばらに家が建っていて、いかにも開放的な感じのするアメリカの田舎は、じつは非常に閉鎖的な社会であることが多いという事実です。
実際に、まだ地価も住宅価格も安く、どんどん他州から移住してくる人の多い州ほど自殺率が高いというショッキングな統計が出ています。
この地図でもっとも濃い色に塗られた自殺率の高い州と、次の地図でもっとも濃い色に塗られた過去1年以内に移住してきた人の多い州を比べてみてください。
モンタナ、アイダホ、ワイオミング、ネバダ、コロラド、アリゾナ、アラスカの7州が重複しています。
雄大な自然に囲まれてのんびり暮らせそうな州が多いのですが、その印象とはかけ離れた生活が待っているのです。
今般のコロナ騒動で大都市居住をあきらめた人たちが次の生活拠点にしようと移住した先の地方都市の多くも、自殺率の高い州に属しています。
なんとかご無事で過ごしていただきたいと願うばかりです。
読んで頂きありがとうございました🐱 ご意見、ご感想お待ちしてます。
コメント
チョット気になる事は、木材価格が大幅の上昇している事と、鉄鋼の価格も強くなっているのではないかとの事です。
外国の木材価格が高騰し、輸入材をあてにしていた、国内の新築が大幅に遅れているとの話しです。
また、水回りの器材が輸入が大幅に遅れているとも聞いた事があります。
小さな話しかも知れませんが、米国でも、同様の動きが有るのかも知れません。
栴檀の葉
低くなるのは、職業が不安だということを。
2024年からの『森林環境税』(年、1000円)のもたらす、環境の安全保障政策がもたらす意味を考えましょう。
コメントありがとうございます。
アメリカでは去年の春から夏にかけて木材市況が大相場を演じ、不況にもかかわらず住宅価格を上げる口実にされました。その後、木材価格はほぼ平年並みに戻ったのですが、住宅価格は高止まりどころかさらに高騰しています。
やはり、いろいろな意味でアメリカの大衆はかわいそうなほど知的エリートや巨大メディアの情報操作に弱くなっています。
日本の大衆は、まだ1989~90年のバブル崩壊の教訓を覚えているので、あまり景気も良くないのに素材に便乗した住宅価格の値上がりを許したりはしないでしょう。
日本はやはりむしろ素材価格のデフレについて真剣に考えるべきなのだろうという気もします。
2024年施行の森林環境税という新税制は、まったく存じませんでした。
どういう意図でだれに(年額1000円というのは、納税者全員が対象なのでしょうが)かけて、どんな目的に使う税なのでしょうか?
森林の整備が、日本や世界にとって大切なのは農業にも言えます。
納税は一人当たり1000円を集め、約1割を都道府県が、残りの9割を森林面積別に、また人口数に応じて都道府県を通じて市町村に分配される見込み(環境省のホ−ムページ144ページ参照)。見てください。
しかし、森林整備への予算の配分や税金の使途には検討が必要だ。最も必要なところにお金が行き渡らないなら問題だ。国土の保全と国民生活の安心と安全を守るたみの税金なら、更に、[森林環境税]は増額されないと足りないだろう。私見では、消費税やNHK負担額と比較をすれば明確。
コメントありがとうございます。
日本が抱えている最大の森林環境問題は、第二次大戦直後になるべく早く立派な森を育てようと、善意でやってしまった杉1種類だけの密植にあると思います。
おかげで、フィンランドや北朝鮮と並んで世界有数の緑被率を保っているわけですが、間伐が不可能なほど生い茂っているところを徐々に切り開いて、もっと多様性のある植生からなる森林に変えていくのは、一大事業でとうてい納税者1人当たり年間1000円では足りないでしょう。
幸か不幸か、世界中で投資用の待機資金はありあまって困る状態が続くので、こういうところにこそ太っ腹に投入してほしいものですが、この件に関してご子息のご意見はいかがでしょうか。
植物学に造詣の深い、昭和天皇は、単植の急速造林の結果は、言わなくても解っていらっしゃったのだと思います。
日本の山林は、急傾斜地がほとんどで、欧州の林業用機械(高額だが)は必ずしも使いやすいものではない様です。
日本の山林に適用できる、林業用機械の長期的な開発が必要と思われます。
これまでは、職人技でしのいできましたが、林業に新規(素人)参入を求めるには、やはり、必要で、一種取り様によっては、防衛産業のブレークスルーにもなる可能性が、有ると思います。
あと、出来上がった木材をどの様に使用するかの、目利きが出来なくなってきたのも、大きな負債の様です。
個人的には、杉・檜の小・中口径木は、断熱材に使えば、解体時に不用意な産廃を減らす長期的な効果も望めるかとも思います。
ただ、補助金は死金になり易いので、流通面での助成なりに代えた方が効果的かとも思います。
差し出がましいコメントで申し訳ございません。
栴檀の葉
たしかに、山登り、木登りをしながら重く大きなものを扱えるパワースーツなどは、世相がすさんでいる国では犯罪組織などの手に渡るのが恐くて開発に二の足を踏んでいると聞きます。
その点、日本は平和でハイテク機器を機敏に使いこなす犯罪組織もなさそうですから、諸外国に先駆けて開発できるかもしれませんね。
私は世の大方のご意見とは反対に、ほんとうに怖いのは温暖化ではなく寒冷化、そして二酸化炭素不足による農作物の慢性的不作、凶作だと思っています。
その点から見ると、まず炭造りで高温を発し、さらにその炭を焚けばさらにきれいで高温のエネルギー放出をする木炭、竹炭は非常に環境にやさしい、ほんものの再生可能エネルギー源ではないでしょうか。
炭焼きは中小零細規模でもできますし、日本のエネルギー自給には理想的な素材になりそうな気がします。
竹炭も針葉樹(杉・檜)の炭も素のままでは、火持ちが良く無く改質の研究が必要かと存じますが、広葉樹の炭に近い物に出来れば、有用性が高まります。
ただ、材木・竹材は重量がかなり有り、老齢に近づく者には、扱うと体に堪えるものです。
農業に関しては、国内の価格低下が生産・受給を歪めていましたので、寒冷化は短期的には不都合も有るでしょうが、作物の種類を増やし、国内生産の増加に繋がると思っています。
当然、荒廃農地の復元にも、人・時間・金を多量に求める事に成るでしょう。
既に、南米では森林伐採が過度に進み、穀物生産が頭打ちになり、中華人民共和国の強買も重なり、国際価格の上昇として現れてきました。
寒冷期前の、一時的な温暖化が昨年までの姿かと存じます。
否、既に昨年の夏から高温の期間の減少が感じられましたので、そのような短い夏の世界に入って行くものと考えます。
栴檀の葉
コメントありがとうございます。
今度の酷暑から厳寒への転換は、ちょうど1770~80年代の世界がそうであったように、「短い夏の年」を通りこして「夏のなかった年」まで突き進むのではないかと心配です。
酷暑から厳寒に転じた1775年にはアメリカ独立革命が勃発し、翌76年には独立宣言が公布されました。
そして夏のなかった1780年代ヨーロッパで、1789年のバスチーユ襲撃を発端にフランス革命が始まったのです。
このふたつの革命は世界史の教科書などでは自由、平等、友愛を重んじる民主主義の勝利とされることが多いのですが、アメリカでは自由競争の市場経済が奴隷制利権に負け、フランスでは欠点も多いながら歴史の試練を経て穏健になっていたカトリックが、理性神とか最高存在とかを崇める新興宗教にあわや敗北するかというところまで追いこまれた暗い時代でした。
今回の寒い夏への転換では、非常に気がかりなことがあります。
二酸化炭素を悪者扱いする風潮の中で、肥料の生産に欠かせない重要な原料である尿素の生産量が世界的に激減していて、価格は2020年末まで200ドル台半ばだったのに、去年末にはついに600ドル台に乗せたことです。
もしほんとうに大気中の二酸化炭素含有量が減少に転じたりしたら、人類全体が寒さと飢えに苦しむ可能性さえあります。
一日も早く人類が地球温暖化=二酸化炭素元凶説という根拠のない危機論を克服してくれることを願います。
確かに、尿素価格高騰は短期的に混乱を起こすと思いますが、今までが少々過剰気味でしたので、適正な水準かやや不足気味の水準で落ち着くかと存じます。
国内の肥料使用では、尿素単体での施用は少なく、リン酸アンモニウムの形態での使用が主になります。
夏の無かった夏は、火山噴火が起因になったかと思いますので、そちらを注視するしか有りません。
栴檀の葉
コメント、とくに尿素の肥料としての特徴についてのご教示、ありがとうございます。
またまた、ドロ縄ですが、どうやら1770年代には太陽黒点数が急減に転じ、大気温もかなり低下していたところに1783年の浅間山の大噴火がとどめを刺したようです。
2019年に太陽黒点サイクル24期が終わり、25期が始まったわけですが、国立天文台の観測によれば、25期の最初の3年間の黒点数は、過去約90年間で最低だった24期に次ぐ低水準にとどまっていたとのことです。
地球のあちこちで火山活動の活発化も報告されていますし、地球寒冷化はほんとうに切迫した問題だと思います。
次男は、高校の一年間をオ−ストラリア、大学をカンサスの田舎の州立大学でマ−ケティングで卒業。郵便局のアルバイトなどをしていたけど、正規雇用は今年の2月からの熊本県の1年間の雇用が始めて。[森林環境税]の使途には、林業関係では山林(川上)より都会(川下)に近い分野の、【山行苗木】の苗木を育て販売することを目指しています。
彼は、投資資金のことは把握しており日本の余った資金の投資には賛成のようです。上記の苗木販売にも一般の都市市民への消費経済を目指しているようです。
なので、投資資金のことは川下から川上までなら、増田様の指摘には賛成のようです。
次男坊が強調してきたことは、隈研吾が銀座などで設計した木材ビル🏢の建築です。これらは、構造には日本の木材が優れていることでした。輸出も出来る可能性ありとのこと。消費経済の可能性大とのこと。
>日本で「木造マンションが急増している」という摩訶不思議
> 中高層マンションといえば、主流は「鉄筋コンクリート」ですが、近年になって建物の主要構造に木材を使用した「木造マンション」の新築が相次いでいます。
>いまなぜ「木造」なのか、耐震・耐火などの安全性は補完されているのか、そして今後の市場流通はどうなるのかについて検証します。
>このところ全国各地で木造中高層マンションの建設が相次いでいます。木造の大規模建築物といえば東京オリンピックの舞台となった新国立競技場が思い浮かびますが、オリ・パラ開催を機に木造建築の良さが再認識されたということなのでしょうか。
2通のコメント、ありがとうございます。
たしかに、中層木造建築は興味深い木材活用法ですね。
しろうと考えですが、しなりによってエネルギーを発散できるので木造建築の耐震性はかなり高そうです。
また、耐火性については破壊消防を必要とするほどの大火の際には、焼け残った構造物が消火活動の邪魔をするよりきれいに燃え尽きてくれたほうがありがたいという考え方もあります。
終始大火に悩まされつづけた江戸時代の火災対策は、今も参考にできるところが大きいと思います。