弱りメタに祟りメタ――1兆ドルクラブから整理ポストへの第1候補はメタ
こんにちは
今日は、このところ何をやっても失敗ばかりで、時価総額が激減しつづけているフェイスブック改めメタについて書こうと思います。
右側のやや小さめで青いのが、郵便ポストです。左側のいかにも急造でどこかを開けて大量の投票用紙をぶち込んでから開けたところを元どおり閉めておけばかんたんに大量得票をねつ造できそうな白いのが、投票箱です。
躓きはじめたのはリブラから
ふり返ってみると、創業から上場、そしてソーシャルネットワーキング業界の首位企業へとやることなすことうまく行っていたメタにとって、躓きの石は価値の安定したデジタル通貨という触れこみで、リブラを流通させようとしたことだったのではないでしょうか。
まだフェイスブックという社名だったメタがデジタル通貨リブラを始動させたのは、2017年12月に最大の暗号通貨ビットコインが1万9300ドルで天井を付けた興奮もまだ醒めやらぬ2019年6月のことでした。
ビットコイン価格がすさまじい乱高下をしていた時期です。なお、ビットコインという暗号通貨の画期的な特徴については、『これからおもしろくなる世界経済』に書いておきましたので、ご興味をお持ちでしたら、ぜひお読みください。
リブラは1リブラが必ず1米ドル近辺にとどまるように設計され、しかもブロックチェーンを利用して無名のまま取引ができる、おまけに銀行口座を持てないほど資金の乏しい人でも気軽に貯蓄や送受金ができると、いいことずくめの新通貨と宣伝されていました。
当初は、かなり多くの企業がリブラのネットワークへの参加を表明しました。次の図表でご覧いただけるとおりです。
中でも痛かったのは、ビザ、マスターカード、eベイ、ペイパルといった消費者金融・決済関連で大きな顧客層をつかんでいる企業が次々に脱落していったことです。上の図でサーモンピンクの斜め線が社名にかかっている企業群です。
当然、各国政府・中央銀行からもかなりの圧力がかかったと思います。ですが、メンバー企業が激減した最大の理由は、リブラ・ネットワークがあまりにも露骨に1口1000万ドル以上の大口出資者に有利だったことです。
世界各国の通貨がネットワークに入金されるたびに、同額のリブラを発行できる仕組みなのですが、その発行益(シニオリッジと言います)は、大口出資者だけで分け合うのです。
もちろん、この図に出てくる企業は全社、苦もなく大口出資者になれます。ですが、あとになって小口出資者に訴訟でも起こされたら勝てないと思うくらい、大口出資者が小口出資者から甘い汁を吸う構造になっていたのです。
それと同時に、謳い文句としてはブロックチェーンを使って無名での出入金ができると言いながら、出納記録が全部勧進元であるフェイスブックに握られてしまうのに気づいたことも大きかったでしょう。
要するに、非常に巧妙な詐欺商品だったのです。
ところで、先進諸国の政府・中央銀行がフェイスブックのリブラ立ち上げに激怒したのは、決して零細出資者を守りたかったからではありません。
自分たちがひそかに準備して、国民に実態を悟られないうちに立ち上げるつもりだった中央銀行デジタル通貨でやろうとしていたことを、フェイスブックが街宣車で触れ回るようにして立ち上げてしまったのが、不都合だったからです。
その後、リブラからディエムに改名してイメージを良くしようとしたり、いろいろ延命策は講じました。
ですが、結局名前を変えた程度で改善できるわけがない欠陥商品だったため、今年の1月末に、シルバーゲイト・キャピタルというあまり知名度の高くない金融企業にはしたガネでディエムの名称とわずかばかり残っていたネットワークを売り渡して消えていきました。
下手な頭韻を踏ませていただくと、Diem died a desolate death(ディエムはわびしい死に方をした)というところでしょうか。
先進諸国の政府・中央銀行には「今は花形銘柄だからちょっかいは出せないが、落ち目になったら叩いてやろう」と思っている人が多いはずです。
これで「ノーボール、ワンストライク」になりました。
次の失策がメタヴァース
そして、2021年10月末、今度はフェイスブック本体が突然メタ(正式名称はメタ・プラットフォームズ)へと改名しました。
仮想現実(Virtual Reality、VR)、増強現実(Augmented Reality、AR)入り乱れる多元宇宙(Multiverse)に君臨する超宇宙(Metaverse)の支配者になるという威勢のいいスローガンを打ち出してのイメージ・チェンジです。
イギリスの小さな会社、オキュラス社が昔のSFに着想を得て商品化しようとしていたアイデアを会社ごと買って、VR・AR界の先駆者になろうと目論んだわけです。
ただ、次の写真でご覧いただくように、少なくとも現時点ではそのVR・ARの宇宙に入りこむためにはかなり不細工で、重苦しく見える眼帯のようなものを装着しなければなりません。
ゲーム機やゲームソフトの開発実務に携わっていた人たちは、ほとんど異口同音で「こんなうっとうしいものを身につけたままでゲームの世界や、現実とは別の世界に入りこめるわけがない」と批判していたのですが、強引に突っこんでいったわけです。
ここで、このメタへの改名と新社名が目指す新しい方向性に関するお披露目でのマーク・ザッカーバーグと、彼のかなり大きめのアバターをちょっと比べて見てください。
私にはそう思えません。
ザッカーバーグがインターネットを駆使したソーシャルネットワーキングの世界に踏み出すようになったのは、お世辞にも上品とは言いがたいきっかけからです。
まだハーバード大学の学生だったころ、非常に人気の高かった美人のクラスメートにデートを申しこんで、「あなたみたいなコンピューターおたくとだれがデートするもんですか」と突っぱねられて、リベンジポルノならぬリベンジアドレス公開をやってしまったのです。
そうしたら大変な反響、しかも圧倒的に好意的な反響があったので「美人女子大生ひとりのアドレスがこれほど関心を惹くなら、ハーバード中の学生、教官のアドレスを最大限集めて公開すれば、商売になるかもしれない」と思ったわけです。
そして、電話やメールでアドレスを聞いて回ったら、ほとんどの人たちが何に使うかを不審がることもなく気軽に応じてくれたので、学内ベンチャーとして立ち上げることに成功しました。
これが、のちにソーシャルネットワーキングでは世界最大のシェアを誇る事業に成長するのですから、世の中はわからないものです。
ただ、ザッカーバーグは、快くアドレス公開に応じてくれた恩人たちのことを「とんでもない大バカ野郎ども(dumb fucks)」と軽蔑していたそうですが。
さて、社名を変えてまで取り組んだメタヴァースの立ち上げのほうは、フェイスブックほど順調には行きませんでした。
オキュラス社のころからVR・ARの開発に関わってきた約300名の社員をほぼ全員解雇か配置転換にして、メタヴァースの商品化は一から出直しにするといううわさがThe Informationというサイトに2月25日付で掲載されています。
これで、「ノーボール、ツーストライク」ですね。
ネオナチのアカウントを凍結解除して三振か
これでもまだドジを踏み足りないとても言うのか、ザッカーバーグは今般のロシア軍によるウクライナ侵攻についても、大変な失策をしています。
現在のゼレンスキー大統領率いるウクライナ政権が、CIAの特殊工作員がウクライナのネオナチ勢力を使って2014年に成功させたクーデターの陣容をほぼ引き継ぎ、大統領だけはあまりの不評でクビをすげ替えただけなのは半ば公然たる秘密です。
そして、正規軍と並んで欧米諸国から送られた兵器を配備されているウクライナ国防隊には、ネオナチ勢力がアゾフ大隊との名称でそっくり編入されています。
「ウクライナを純血種白人の国にするために、ユダヤ人や同性愛者やロマ二(昔はジプシーと呼ばれていた人たちです)を排斥する」と堂々と主張している連中です。
この大隊の兵士たちの中には、ロシア語を母語とするウクライナ国民が多いドンバス地方に配属されると、明白な停戦協定違反となる民間非戦闘員の殺傷やレイプをして平然としている正真正銘のゴロツキも混じっています。
フェイスブックでは、このネオナチ勢力を自国内の白人優越主義者団体、クー・クラックス・クラン(KKK)やイスラム国(ISIS)同様、ティアー1の危険思想団体としてアカウントを完全に凍結していました。
ところが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、「ネオナチ勢力のアカウントであっても、対ロシア戦での士気を鼓舞する言動であるかぎり凍結を解除する」と公表したのです。
マーク・ザッカーバーグは、これまで学内ベンチャーがそのまま好収益の大事業となり、ほとんど苦労らしい苦労をせずに世界でも5本の指に入るほどの大富豪になってしまいました。
きっと自分が不人気になったとき、どうすればいいのかなど考えたこともなかった人でしょう。
そして、最近失敗続きで悪評もたびたび耳にするようになって思いついた対策が、とにかく世間で話題になっていることに関して、人気のある側に付くという方針だったのだと思います。
今、世界中で最大の関心事となっているのはロシア軍のウクライナ侵攻です。そして、世論は圧倒的に「ロシア非難、ウクライナ擁護」に傾いています。
だから、「ウクライナ側で戦っているネオナチの言動もフェイスブック経由で拡散することを許す」と言い出したのでしょう。
ですが、世間がウクライナ支持で固まっているのは、「強大な悪党国家、ロシアに敢然と立ち向かう弱小な正義の国、ウクライナ」というストーリーあってこそです。
その正義の国、ウクライナで正規軍に準ずる軍事組織の1大隊を丸ごとネオナチ勢力が形成しているというのでは、明快な「勧善懲悪」の構図がぶちこわしです。
世界各国の政府、マスメディアとしては「まったく、あいつはなんて空気の読めないことばかりするのか」とカンカンに怒っているでしょう。
これで、本来は「スリーストライク、ユーアーアウト」のはずです。
ですが、何かの弾みでピッチャーの投げた球が、メタのバットに当たってワンバウンドしてしまったので、ファウルチップで「ノーボール、ツーストライク」のままだったとしましょう。
それでもやっぱり、メタは三振に終わらざるを得ないようなニュースが出てきました。
2020年大統領選での派手な選挙違反
2020年11月の大統領選では、大方の予想がかなり認知症が進んで言うことも意味をなさなくなっているジョー・バイデンではとうていドナルド・トランプには勝てないだろうというものでした。
この下馬評をひっくり返してバイデンが勝ったについては、全米各地で不正投票や不正開票のうわさが出ました。
そもそもアメリカの選挙管理はきわめてずさんです。投票所に行った人の身元をチェックするためのIDを確認することもありません。
郵送投票にいたっては、正規の郵送用投票用紙に本人が自筆で書いたと思われる手書きの候補者名さえ書いてあれば、ほぼ検証なしで1票に数えています。
当然、1票ごとに筆跡鑑定をするなどということはできるはずがありません。
しかも、どこかから組織的な票の積み増しが入りこんでも排除しようがないほどいい加減な投票箱に入れるだけというシステムになっています。
右側のやや小さめで青いのが、郵便ポストです。左側のいかにも急造でどこかを開けて大量の投票用紙をぶち込んでから開けたところを元どおり閉めておけばかんたんに大量得票をねつ造できそうな白いのが、投票箱です。
さて、ザッカーバーグの容疑はといいますと、もともと民主党の強いウィスコンシン州でもとくに民主党の金城湯池とされている5つの郡で、民主党支持者たちだけに投票所に行くためのカネをばら撒いたということです。
そもそもアメリカという国は、政治家への贈賄や選挙違反で捕まることが至難と言ってもいいほどむずかしい国です。
先進国ではほとんど唯一、1946年の「ロビイング規制法」成立以来、連邦議会に登録したロビイストを通じてであれば、企業経営者、業界団体、職能団体の幹部が政治家に金品を贈ることは正当で合法的な政治活動とされています。
1990年代まで、さすがに選挙資金だけは一定の金額以下に収めなければいけないという規定がありました。
ですが、これも連邦最高裁で「候補者の選対本部への献金には上限があるが、いわゆる勝手連(押しかけ応援団)への献金なら、青天井で言論の自由の行使と見なす」という判例が出てからは、まったく有名無実となりました。
そういうカネの力で腐敗しきった国で、本格的に選挙違反で司直の手が伸びそうだというのですから、どんなにひどい不正をおこなっていたのかがご想像いただけるでしょう。
大企業でも潰れると示す人身御供に?
ロビイング規制法が成立してからのアメリカは、金権腐敗の国として経済が坂を転げ落ちつづけています。
1970年代までは非常にゆるやかな坂だったので、気づく人もほとんどいませんでした。
しかし、1980年代以降は徐々に傾斜がきつくなり、今や垂直に近いほどの急勾配です。
勤労者の中でも、所得が上がっているのは経営幹部、研究開発・企画担当者、金融業界の凄腕セールスといった一握りの恵まれた人々だけです。
企業間でも、大企業はどんなにひどい失敗をしても国のカネで立ち直らせてもらい、中小零細企業は営業利益で金利負担をまかなえないゾンビが激増しています。
こうした不満が渦巻く中、アメリカ政財界の中枢では「そろそろどんなに時価総額の大きな企業でもあまりにも無様な失態を演じつづける企業は破綻させて、少しは公平な競争があるように見せかけようじゃないか」という話がまとまっているのではないでしょうか。
そうと決まれば、第1候補は明白です。
まず、圧倒的に高いシェアを持つガリバー型寡占企業のお好きなアメリカ政財界の大物たちから見て、フェイスブックはお眼鏡にかないません。
どこから自発的に貴重な情報を提供してくれるカモを探し出すかといえば、グーグル(アルファベット)の検索エンジンとは違う、ソーシャルネットワーキングです。
でも、どこでカネを稼ぐかと言えば、利用者から集めた情報を提供して広告料を取るインターネット広告代理業です。
その中で、グーグルは圧倒的な首位、フェイスブックはかなり差のある2位に過ぎません。
しかも、中央銀行を激怒させたり、ゲーム業界の失笑を買ったり、欧米各国の政府・マスメディアが一致協力してつくり上げた幻想をぶち壊すような愚鈍な創業者のワンマン企業です。
これほど消えてなくなっても困る人が少ない企業も、珍しいでしょう。
最後に、2月3日の大暴落直後にご覧いただいた巨大企業の時価総額リストをアップデートしましたので、こちらにも眼を通していただきたいと思います。
時価総額1兆2000億ドルを超えていた企業が、約半年で半分未満の5800億ドルに収縮してしまったというのに、その大暴落過程でたったの一度も反発局面がなかったのです。
これはもう、総資本の意思として「大企業でも潰れるという見本を示すなら、人身御供はこの会社だ」と決めてしまったと考えなければ説明のつかない値動きではないでしょうか。
読んで頂きありがとうございました🐱
ご意見、ご感想お待ちしてます。
コメント
ふと、スタンダード石油が独占禁止法に引っかかった時を思い起こしてしまいました。
しかし、スタンダードは実体のある分割会社として存続し、最後には、ほぼ斉一の形で復活しましたが、メタにはその様な要素が皆無との事、今をときめくIT企業と言えども、板子一枚下は地獄の世界にいるのに実感しました。
栴檀の葉
アホの鳩山由紀夫は現在のウクライナ政権がネオナチによって樹立された、とばらしましたが、ある意味ではもっとアホの安倍晋三はプーチンをのさばらせてしまった。
鳩山も安倍も結局は健全な愛国心が無い。ま、鳩山は心の祖国には忠実ですね。別に鳩山を庇うわけじゃくて、愛国者アピールしながら愛国心ビジネスをしている安倍の方が遥かに許しがたい。
本当は結構ユートピアだった江戸時代であっても、「江戸幕府」という公の存在はありました。偏狭な愛国心は間違っていますが、グローバルだ、ボーダレスだなんて幻想を通り越して犯罪としか思えない。リブラなんてものも、21世紀のマルクス・レーニンを目指したザッカーバーグの妄想としか思えない。
ところで、好き嫌いを抜きにして、ザッカーバーグの顔が宇宙人みたいだと思っているのは僕だけなんでしょうか?
一説には正宗の太刀は、水に流れる木の葉を刃で止め、使い手の意思で断つ事が出来、村正の太刀は、木の葉をただそのまま2つに切り分けたとも聞きます。
栴檀の葉
私は、鳩山由紀夫を在る意味で評価します。
鳩山由紀夫は、「ウクライナのゼレンスキー大統領は自国のドネツク、ルガンスクに住む親露派住民を『テロリストだから絶対に会わない』として虐殺までしてきたことを悔い改めるべきだ。なぜならそれがプーチンのウクライナ侵攻の一つの原因だから」と述べていた。(2022.3/1.スポーツ報知)
私は、鳩山由紀夫が述べていることは正しいと思う。今のゼレンスキー政権は、ウクライナ東部のロシア系住民の多いところで、親ロシアの民兵組織が、ウクラナイナ軍と交戦して激しい内戦 になった。それから以後、親ロシア派の非戦闘員の住民が殺されたようだ。
だから、プーチンが、この親ロシア派の住民を虐殺から守るために、「もう、我慢できない」ということで、2月21日に、この地域にロシア軍を侵攻させた。プーチン自身が、このことを何度も言っているのは原因があるのだ。
このことは、日本が、米露等の大国の覇権主義に騙されてはならないということだ。つまり、ウクライナと同じ目に遭わないように、大国に操られて利用されて、捨てられるということがないように、慎重に行動しなければいけない。これが昭和天皇の私たちへの重大な戦後の遺訓である。
即ち、「憲法改正、そして戦争が出来る国になろう、などという愚かな考えに乗ってはいけない。大国政治にいいように騙されて、翻弄されたら、日本は再び戦争の惨禍を浴びる」からだ。
増田ブログ、メタのマーク・ザッカーバーグの、大国アメリカの最先端技術の詐欺予言が失敗したので救いがある。つまり、馬野周二の言う「科学は、今日最高の予言者なのだ」に失敗したのだ。
私は今、馬野周二の歴史工学『大日本技術帝国』を読み直している。増田悦佐の思想と同期する、馬野の珍しい思考を深化すべきだと教えられている。
偉大な昭和天皇が仰ったように、日本は大国に踊らされて戦争に加担してはいけません。しかし、僕は憲法を改正して自衛隊をシビリアンコントロールすべきだと確信しています。戦前のように軍隊が暴走するのを防ぐためです。
安倍晋三はせいぜい岸信介を超えたい、その程度です。戦前は、長州人によって牛耳られていた帝国陸軍と朝日新聞が、戦争を煽って煽って煽りまくっていたことを絶対に忘れてはなりません。
昔に読んだ筈なのに、今の方が、考えさせられた。
突き刺さったのは、石原莞爾の「世界最終戦争論」を取り上げていたことです。核爆弾が予知されており、広島-長崎の核爆発を受けた第二次世界大戦が世界最終戦争とするなら、辛うじて人類滅亡の危機を脱したこと。
被爆者二世の私は、大学に入(学するまでは、放射能汚染の感染に悩んでいたので、悩ましい指摘だ。
しかし、馬野周二が「真正の戦争歴史哲学を構築した史上唯一の人物」と指摘した、石原莞爾の「すべての根底には技術があり、軍事も経済もその上に立つている」ということ。また、戦後いち早く、晩年の石原の洞察「核爆弾と宇宙技術の登場は、完全に戦争を変革してしまった。交戦国の心臓部に瞬時にして大破壊を加える核爆弾を完全に阻止することは、兵器の常識からみても、不可能である」こと。
また、「核の傘とは、アメリカの自国の利益のためであり、一分たりとも日本の利益を考えてはいない」「日米(安全保障)条約というものは、強者(アメリカ)のためにあるので、弱者(日本)のためにあるのではない」「日本の安全にとって、他人の傘などは有害無益である」 こと。
また、「もし日本が独自の力の政策を国外にふるうつもりであれは、核軍備が必要であろうが、自国の安全のみで足りると考えれば、そのときは本土防衛に必要な通常軍備をもてば足りる」「日本が自国の自衛軍備もつことは当然である。------ただ、その技術方法については深く考慮しなければならぬ。これからの兵器は電子化、ロボット化、ソフト化する」こと。
更に、「核戦争はありえない。工業大国間の本格通常戦も現実化はしない。しかし---戦争はまだ心理的可能性として有効に残存する。そして戦争強迫は政治的、経済的謀略手段として利用される。われわれはその手に乗せらないように、必要最小限の防衛準備をしておくことが大切だ」と説く。
そしてこれらを、馬野は、戦争をこのような終局段階にした根因として「原子力、ロケット、エレクトロニクス、バイオなどという、旧技術とは異なった新しい産業革命のなのである」と指摘している。更に馬野は、「この新しい産業革命(新資本主義、サ−ビス消費資本主義)の技術は戦争を根本的に変え、もはや戦争が意味をなさない世界を招来した」と結論する。
私は、大衆(庶民)の原像から逸脱しがちだ。吉本隆明の言う「沈黙は金なり」であるのだろう。ブログの書き込みも、これから控えて沈黙したい。
だから、馬野の言う「技術の進歩をもたらす情報化社会は、日本の下町的社会がもっとも適合する。善意の人々は底意なくなんでも喋る。一人一人は平凡人でも、人から聞いた話しに、わずかに知恵を付け加えて他の人に伝達すれば、しまいには巨大な創造力となる。一人の知恵はたちまち万人に共有される知恵になる。情報化社会の巨大な生産力と革新力は、そこから湧き出るのだ」を、引き寄せたいと思う。
土井さんの引用も頷けるところは多いですね(というより、僕が日頃思っていたことと重なるところがある)
ブログの書き込みを控えるのは、吉本ばななの父、吉本隆明の思考の基本、「大衆の原像」を「逸脱」しそうだからです。
私は、吉本の経験(戦前、戦後)からくる、庶民の生き方を根本にした、生活以外の知識 を「逸脱」と規定したことを、私的には思考の基本としていることです。
この「逸脱」は、増田さんなら、文筆生活ですから可です。しかし、私の頭脳の思考過剰は「逸脱」なのです。
吉本は後に、「大衆の原像」を、三木茂夫の『内蔵と心』の形態学から借りて証明しています。
三木は、内蔵(腸から)の第2の言語を、「無意識」を生み出す心だと解剖学から証明しています。これが、大衆(庶民)の無意識(原像)の意味です。
ご理解下さい。
コメントありがとうございます。スタンダード石油やUSスチールは、実際に規模の経済が効いている産業でのガリバーだったので、しぶとく生き延びましたが、インターネットを利用したサービスでのガリバーは、実は規模の経済はほとんどありません。ですから、一旦偶像視されなくなれば転落は早いと思います。
コメントありがとうございます。
マーク・ザッカーバーグの表情は怖いですね。あくどいことをやって来たという認識が無さそうなのがさらに怖いです。
有難いお言葉です。
日本の良さを讃える時、どうしても武士道精神とかに評価が偏りがちですが、町人国家という視点を忘れたくないと私も思っています。