人類全体を家畜のように飼い馴らすために、食糧危機を捏造するグローバリストたち

こんにちは
今日は、前回書ききれなかったことで、どうしてもお伝えしなければならないことがありますので、引き続きオランダで起きている農民一揆とさえ呼べるほど大規模な農民たちの抗議行動について書かせていただきます

なぜオランダの農民たちは怒っているのか

まず、ご覧いただきたいのがこの写真です。


大事な商売道具であるトラクターを公道に持ちだして、片側4車線以上ありそうな道路を埋め尽くしている農民たちのデモ行進です。

じつは前回はオランダ経済における農業生産の重要性をあまりきちんと調べずに、農林畜産物の輸出額で世界5位、畜産物だけならヨーロッパで2位の農業大国と書きました。

ところが、調べ直してみると食料品の輸出額において、オランダはアメリカに次ぐ世界2位の国だったのです。


じつは、20世紀末まではワインという高額商品の輸出で圧倒的に強いフランスの後塵を拝して世界第3位が定位置だったのですが、21世紀に入ってからはずっと2位を維持しています。

きびしい環境を克服して得た農業大国の座

オランダは国土面積では明らかに小国です。しかも、その狭い国土のうち17%は海を干拓してつくり出した土地で、長い年月をかけて塩抜きをしなければ農耕はできません。また、国土の26%は海抜0メートル以下で、油断すればすぐ水没してしまう危険のある土地なのです。

こうしたハンデにもかかわらず、オランダが農業大国になったのは、手間を惜しまず注意深く作物を育てる農民たちの努力のたまものです。


整然と列をつくって植えた作物のあいだにレールを敷いておいて、トロッコに乗って1本、1本ていねいに育てている様子がおわかりいただけると思います。

このへんは、欧米の農家から見ると「農業ではなく園芸だ」と言われるほど手をかけて農作物を育てる日本の農家の皆さんにも親しみの持てる光景ではないでしょうか

世界最初のバブルは決してあだ花ではなかった

オランダの農業というと酪農とともに、花卉栽培、とくにチューリップが有名です。



実用性に富んだ再生可能エネルギー利用としては、水力発電とこのふたつだけではないかと思われる風車を背景に、整然と咲き誇るチューリップ畑です。

しかし、このチューリップについては「近代経済史で初めてのバブルを起こしてしまった」ということで、本来的な価値からかけ離れた値上がりによって、結局は多くの人が資産を失う「市場の魔力」の象徴として批判的に見られてきました

当時のヨーロッパではあまり普及していなかった珍しい花だというだけの理由で、チューリップの球根でさえあれば、見境なく高値に買い上げられてしまったように説明している経済史の教科書も見ます。

このバブルが起きた1637年当時、世界中に多くの植民地を持っていたのはスペインとポルトガルでした。どちらも、中南米の貴金属や東南アジアの香料を奪い取ったり、買い叩いたりして、ヨーロッパで高く売るという略奪経営をしていました。

ところが、ポルトガルから香料諸島を奪取したオランダ人たちは、現地で香料となる植物の栽培に直接関与することによって、より大きな富を得ようとしたのです。

この「略奪から生産現場の掌握へ」という変化は、その後の資本主義の発展にとって非常に大きな意義のあるものでした。

オランダ人たちが熱狂したチューリップの球根取引も、チューリップでさえあればなんでも高値で買いあさったのではありません。

色や模様に特徴のある花が咲く球根を買って、うまく株分けができれば、巨富を得られるという、いわば農業経営の資本主義化を体現した熱狂だったのです。

スペインの文豪セルバンテスは、レパント海戦でオスマントルコ軍の捕虜になり、船底でオールを漕がされていたこともあり、預金をしていた銀行が破たんしたために債務者監獄に入れられていたこともある、波乱万丈の人生を送った人です。

そのセルバンテスがまさに詩人の直観で、「個人の武勇は機械に勝てない」と悟って『ドン・キホーテ』随一の名場面、風車に突撃して無残に敗れ去る主人公、ドン・キホーテを描いたのは、チューリップバブルが起きる30年以上も前のことでした。

今でもオランダは、球根の輸出量では世界シェアの60%を占めるという大国であり続けています。この事実からも、チューリップバブルは無意味な熱狂ではなかったことがおわかりいただけると思います。

むしろ、チューリップバブルを起こしたのは、農業生産における起業家精神の発露だったとさえ言えるでしょう。

こうしてオランダは、倦まず、たゆまずの努力で劣悪な自然条件を克服して、世界第2位の農業大国になりました。農業人口1人当たり、あるいは耕地面積1ヘクタール当たりで言えば、間違いなく断トツの首位でしょう。

そのオランダの農家を3割も削減してしまおうとしている人たちは、いったい何を考えているのでしょうか

WEFはたちの悪いマッチポンプ

マッチポンプという表現をご存じでしょうか。自分でマッチを擦って起こした火事をあとからポンプで水をかけて消し止めて手柄顔をする人のことです。

世界経済フォーラム(WEF)は、自分で起こした火事をあとから水をかけて消し止めるどころか、ポンプで油を撒いて燃え広がらせるたちの悪いマッチポンプと言えるでしょう。

つい最近も、食料品や農業生産物の価格上昇について本気で心配しているかのような取り上げ方をしています。



いかにも食糧危機が起きる可能性を憂えているように見えます。

でも、過去2~3年の食糧価格高騰、農産物の不作はWEFが惹き起こしたと言っても過言ではありません

新型コロナウイルス、コヴィッド-19について、当初からロックダウン、マスク着用、ワクチン接種の強制化を熱心に推進して、明らかな過剰反応で経済活動全般を停滞させました

窒素系肥料一律削減は許しがたい暴挙

それだけではありません。WEFは延々と窒素、リン酸、カリウムという3大化学肥料を目の敵にしてきました

世界人口がそろそろ80億人になろうかというほど大幅に増えてきた最大の理由は、化学肥料を適切に使うことによって単位面積当たりの農作物の収穫高が劇的に増加したことです。

化学肥料の恩恵がなければ、人類はとっくの昔に人口の上限に到達してしまっていたことでしょう。

ところが、WEFに集まっている知的エリートたちは、まったく反対に「そもそも人類はこんなに増えるべきではなかった。化学肥料を使わずに育てた農作物の量で維持できるところまで人口を削減すべきだ」と考えているようなのです。

彼らは化学肥料の中でも窒素系肥料をとくに嫌い、これを一律30%削減せよとか、50%削減せよとか、世界中で飢饉を起こしたがっているとしか思えない主張をしています

さらに、カナダとかオランダとかWEFに迎合することによって自分たちの脆弱な権力基盤を維持したいと思っている政府が、2019~20年あたりから実際に窒素系燃料の一律削減目標を打ち出しています

もしほんとうに化学肥料が有害だとすれば、こんなに世界中で普及しているはずはありませんし、農家も利用を控えるはずなのですが。

実際には、肥料やその原材料の生産を抑制してしまったら、肥料価格も原材料価格もご覧のように急騰に転じています



この点に関しては、政府が早くから一律削減を打ち出していたカナダで、農学者を中心とする科学者グループが、かなり緻密な実証実験をやっています。

今までどおりに窒素系肥料を使った場合と、②一律に30%削減した場合、そして③正しい肥料を正しい割合で、正しい時期に、正しい場所に施してやる方法とで、二酸化炭素発生量と、耕地面積当たりの農業利益がどう違うかを試したのです。

3つめの選択肢は、4つの正しい(right)ことをおこなうという意味で4R法と言っています。

結果は、以下のとおりでした。

一律削減では、二酸化炭素発生量は収穫1キロ当たりで従来どおりに比べて37グラム減りますが、同時に耕地1エーカー当たりの農業利益は16ドル減ってしまう

一方、4R法では、施す窒素系肥料は10%減らすだけですが、二酸化炭素発生量を1キロ当たり70グラムも減らせる上に、1エーカー当たりの農業利益も25ドル増えるというのです。

ようするに、仮に二酸化炭素排出量を削減するという目的自体が正しかったとしても、窒素系肥料の一律削減は非常に拙劣な方法だということです。

グリーン革命派の人たちは、ほんとうに自然や環境に優しくありたいと思っているのでしょうか

どうもそうではなくて、穀物を栽培したり、家畜を肥育したりするときにはつきものの、自然に振り回されてなかなか計画どおりにはことが運ばないという状態を嫌っているのではないでしょうか。

ビル・ゲイツの提唱する悪夢の世界

だからこそ、ビル・ゲイツのように「これからの人類は自然に育った牛や豚、鶏の肉は食べずに、実験室で培養した人造肉を食べるべきだ」と主張する人が出てくるのだと思います。


農民たちがトラクターでデモ行進をしていたころ、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が大口出資をした人造肉製造工場が深夜焼け落ちるという事件がありました。



偶然にしてはあまりにもタイミングが良すぎるので、おそらく放火でしょう。

明らかな犯罪行為で、決して褒められたことではありません

ただ、ビル・ゲイツたちの言うなりになっていると、少なくとも過去1万年以上にわたって人類の食を担ってきた農業が、次の絵に見るような惨めな境遇に追いやられてしまうかもしれないのです。


手段は容認できませんが、こうした行動を取ってでも、人類から農業という職業を奪い、自分が育てる作物や家畜と一緒に住むという選択肢を奪うことに精一杯の抵抗をしたい気持ちはわかります

読んで頂きありがとうございました🐱 ご意見、ご感想お待ちしてます。

コメント

スイーツ さんの投稿…
増田先生、僕が質問しても「それぐらい自分で考えなさい」と言われるかもしれませんが、質問します。

人間が傲慢にも自然を支配できるなんて恐ろしいけど、都会のど真ん中で農業が出来るという発想は面白いのではないでしょうか?日本では農業に携わる人が減ってきますが、都会のど真ん中で農業やってみたいな、、、と僕は思っていたのです。

もっとも、ビル・ゲイツの思想というのはやはり恐ろしく、やはりIT長者特有の頭でっかちの欠陥があるなと思います。

目的さえ正しければ手段は正当化されるという考え方は危険だし、止めなくてはいけません。しかし、ウクライナやチベットを見ても分かるように時と場合によっては野蛮な暴力には暴力で対抗するしかありません。

暴力の連鎖を止めるためには(1)政治家たちはのブレス・オブリージュの精神を持つこと(2)健全なマスコミが育つこと この2点が大事です。
みどりがめマニア さんのコメント…
増田様
「買ってはいけない」という偽善本のコラムかなにかだった気がするのですが、
理想の食生活は有機農法で、洗濯機は使わず手洗いで云々と続いたあと、現在の化学肥料と農薬を使った農産物に食品添加物を使った食品を食べると早死すると説く人がいました。

「添加物を使おうがどうしようが、今食わねば今餓死する人々のことを考えてんのか」と不信感を持ちました。
要するに今思うと恵まれた人達の妄想の垂れ流しでした。
似た話で江戸時代に戻れば明るく楽しく健康ハツラツと主張した方もいましたが、江戸時代の人口と平均年齢を調べればたちどころに「へ?」となります。

それはともかく、人間が増えすぎると資源も食料も足りなくなり、奪い合いの大戦になるから人を減らそうというエリートの趣旨はわからんでもないですが…やり方が過激というか人々を怒らせて逆効果になるというか、簡単にバレる嘘を根拠に変な事始めて舐めていると言いますか…。と言ってこのまま人口が増えすぎるとある日突然破局がきて「ディストピアの方がマシだった」になりかねませんし…。
誰も傷つかないようないい考えはないでしょうか?
先進国の人口が軒並み減り始めているのは、「このままではヤバい」と人口をゆっくり減らすようにしているという生物としての知恵というオチだとか?(大飢饉よりは確かにマシかもしれません)
牛の尻尾 さんのコメント…
食い物の恨みは恐ろしい、というように、最低限の食の提供は為政者にとって基本的な責務だと思います。そこで、自分達は食べる気もない人造肉やら昆虫食を強いるのが、世界政府指導者なのであればまさに人の道に外れていると思います。
高級食材ではなくても、まともな物を選んで食べる楽しみを庶民から奪ってはならないと考えます。
増田悦佐 さんの投稿…
スイーツ様:
都会で農業、おもしろいと思います。今でも東京の下町などで街角の半畳程度のスペースにいろいろと花をめでたり、実を食べるための草木を植えて丹精込めて育てている光景を見るとすばらしいと思います。
私が反対しているのは、政府あるいは権力が「お前は農業をしてはいけない」とか、「お前はここに住んではいけない」とか命令すると、人々はその命令に従わなければならない社会になってしまうことです。
増田悦佐 さんの投稿…
みどりがめマニア様:
コメントありがとうございます。
じつは私も江戸時代礼賛本を書いております。『お江戸日本は世界最高のワンダーランド』(講談社+α新書、2013年)→https://www.amazon.co.jp/%E3%81%8A%E6%B1%9F%E6%88%B8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AF%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%9C%80%E9%AB%98%E3%81%AE%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE-%CE%B1%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%A2%97%E7%94%B0-%E6%82%A6%E4%BD%90/dp/4062727919
です。
平均寿命の大半を決める乳幼児死亡率が高かったのはたしかですが、現代人よりバランスの取れた食事をし、中高年になってからでも徒歩で長距離旅行をする健脚の人々が多かったのは間違いありません。
また、現代社会と比べれば、いろいろと不便なことだらけですが、リサイクルできるものはなんでもきちんと市場経済を通じてリサイクルが商売になっていたこと、初等教育が国家の権威によらず、民間の営利事業として成立していたことなどすばらしいことの多かった社会でもあります。
少なくとも、戦争、内乱、武力による政権奪取が相次いだ同時代のヨーロッパに生まれついてしまった庶民と比べれば、江戸時代の日本の庶民はほとんど戦争も武力抗争もなく、多種多様な趣味に没頭することができた幸せな人たちだったことも事実です。
増田悦佐 さんの投稿…
牛の尻尾様:
コメントありがとうございます。
まったくおっしゃるとおりで、人間が生まれ育つ過程で自然に慣れ親しんできた食べものを自分たちが権力を維持するために都合のいい方向に変えようとするのは、言語道断です。
ただ、オランダ政府の拙劣な強硬策をきっかけに、グローバリストたちによる世界支配に対する反発があちこちで起きているのは、すばらしいことだと思います。