米株高元凶の3悪のうち、2悪はこけたが最後はしぶとい

こんにちは
一連の中堅銀行の破綻で、今度こそアメリカ株が本格的な暴落に入るかと思ったのですが、意外にしぶとく、下げては戻すのくり返しを演じています。

そこで今日は、経済全体はかなり前から低迷し、金融業界はパニック寸前なのに、なぜ株式市場だけはこんなに粘っているのかを解明したいと思います。

アメリカの景気は明らかに悪化している

まず、次のグラフをご覧ください。


アメリカの中央銀行である連邦準備制度(Fed)が政策決定会合をおこなうたびに、今年の第4四半期(10から12月)のGDP成長率は下がりインフレ率は上がるという方向に予測が暗くなり続けています。

こういう予測を自分たちで立てながら、景気をさらに悪化させる可能性の高い利上げを延々とやっているわけですから、Fedのスタンスもどうかと思います。でも、もっと問題なのは株価が経済状態を映す鏡の役割を喪失してしまったことです。

昔からFedには金融機関がどうしても資金繰りができないときに借りに行く「割引窓口(Discount Window)」というものがありました。

最近では「この制度を使ったというだけで経営不安がささやかれたりするから、なんとかしてくれ」という要請もあって優遇信用(Primary Credit)と名前は変わっていますが、金融機関の駆け込み寺という実態は変わっていません。

その割引窓口の利用がとんでもない激増ぶりなのです。


2007~09年の国際金融危機の頃には「アメリカの大手金融機関を先頭に、世界中の金融機関が総崩れになるのではないか」と恐れられていました。

当時の割引窓口利用が約1100億ドルだったのに対して、直近の利用は1500億ドルを超えています。

一方、アメリカを代表する株価指数であるS&P500は、国際金融危機の頃には1500ドル台から600ドル台まで、ほぼ60%の大暴落となりました。現在はどうでしょうか。まるで去年1年間下落基調だったので調整は済んだとでもいうように下げ渋っています

個別に問題を抱えた銀行だけではなく、銀行業界全体が明らかに危機に瀕しています。それは、次のグラフにも鮮明に表れています。


2月末まではS&P500と同じように方向感の定まらない小刻みな上下動をくり返していた金融株セレクトETFと地銀株ETFは、3月に入ってから急激に下げています。

地方の中小銀行だけではなく金融業界全体の問題であることは、金融株セレクトETFという代表的な大手金融機関を網羅したETFが下げていることを見ても明らかです。

それなのに、S&P500は3月中旬までは金融株に連れ安したものの、その後はむしろ上昇基調に入ったような値動きなのです。

金融業界はリスク回避の極致

中堅銀行が連鎖的に破綻してからは、「もっと安全な銀行に預金を移したい」という預金者たちの資金を集めて、大手銀行は一見有利な立場にありそうで、実際に3月中旬以降預金総額も増えています。


ですが、まず去年の4~12月を見ると、預金がじりじり減っていたのは大手銀行徐々に増やしていたのは中小銀行なので、条件反射的に大手に集まった預金がそのままとどまるかどうかは予断を許しません。

現に銀行よりはるかに手堅く資金を運用していて、購入者に払う金利は微々たるものですが、絶対に損をさせることはない方針に徹しているマネーマーケットファンド(MMF)が、銀行業界全体から資金を奪っているのです。



こちらは、去年の4月から一貫して続いていた傾向で、3月上旬以降はそれがさらに急角度になっています。

MMFとは、機関投資家などがすぐにほかの投資対象に振り向けるかもしれない資金を一時的に仮置きしておくために財布代わりに使っている金融商品ですから、購入者も利回りを求めているわけではありません。

ですが、あるはずの資金が減っていたために約定どおりの決済ができなかったりしたら大変なので、絶対に損は出さないような運用をしているわけです。

少なくとも去年の4月頃から一貫して銀行預金がMMFに逃避していたということは、大手機関投資家たちはこの頃からもう銀行が危ない時代が来ると予測していたはずです。

この銀行からMMFへという資金の流れを、もう少し長期にわたって見てみましょう。


2021年の上半期までは銀行預金の伸びとほぼ同じペースで伸びていたMMFの総資産は、その後かなり差を広げられてしまいます。機関投資家の大口預金であれば金利がMMFよりマシで、すぐどこかに投資する予定のない資金が銀行預金に溜まっていたのかもしれません。

ただ、おそらくコロナバブルは去年の4月には終わっていて、その後は銀行預金よりさらに安全と思われるMMFに資金を移す投資家が多かったのでしょう。投資家たちが危機感を抱き始めてから1年弱で実際に恐れていた事態が発生したわけです。

私は米株市場が実体経済の悪化を反映せず、長期にわたって上昇基調を保ってきた理由は3つあると思います。

  1. しろうとを欺して上場後の最高値から暴落するようなボロ株に資金を集めるIPOが異常な盛況を示していたこと。
  2. 企業が自社株買いによって実態以上に自社の業績がいいように見せ続けてきたこと。
  3. インデックス投資の流行によって、代表的な株価指数と同じ値動きをするETFに大量の資金が流入し続けてきたこと。
以下、順を追ってご説明していきましょう。

経済実態を反映しない株高の元凶その1、IPOブーム

IPO(Initial Public Offering、上場時の新株売出し)とは、未上場会社が上場するときに、株式市場で自社株が活発に取り引きされるように、それまで発行していた市場では流通していなかった株に加えて新しく大量の株を発行して、一般投資家に売り出すことです。

もちろん、未上場だった株が、上場するためにはきびしい審査をパスしなければなりません。ですが、過去3~4年にわたって、特別買収目的会社(SPAC)という手法によって、合法的にこの壁を通り抜けやすくする制度変更が悪用され続けてきたのです。

SPAC自体は1993年に考案されましたが、2017年まではニューヨーク証券取引所がSPACの上場を禁止していたので、あまり多用されませんでした。しかし、SPACがニューヨーク市場に上場できるようになってからは、大きく伸び始めました

過去に未上場株を手がけて何度も上場に漕ぎつけたファンドマネジャーなどが「これから上場できそうな有望な会社を探しますから、私の良い企業を発見する能力を信じて、資金を預けてください」というのが、SPACです。

SPAC自体がなんの事業運営もしていないのに上場することができて、このSPACによって買収された「有望」企業は自動的に上場できる仕組みになっているのです。SPACが普及してから、IPOの件数や新規上場時に集める資金総額は飛躍的に増えました


1995~96年の社名のあとにドットコム(.com)さえ付けておけば人気銘柄になるといった雰囲気の中で「ハイテク」ブームが起き、そのバブルが2000~02年に弾けて大損をしたと言う人が多く、IPO市場はしばらく閑散としていました。

ニューヨーク証券市場が2017年にSPACの上場を認めたのは、IPO市場を活性化させたかったからでしょう。上のグラフでもおわかりいただけるように、2016年の133件を底に、IPOは3年間200件台で地固めをした後、2020年から激増しました。

しかし、2021年に1000件の大台に乗せたあと、2022年には181件へと激減してしまいます。IPOによって集めた資金総額も同様で、2021年のかんかん照りの真夏から、2022年には突然厳冬の中に突き落とされたような変化を示しています。


なぜでしょうか?

IPOブームで新規上場した銘柄、とくにSPAC経由で上場した銘柄が、あまりにもお粗末だったからです。

「内燃機関エンジンの自動車は全廃される。これからはEV(電気自動車)の時代だ!」といって雨後のタケノコのごとく上場したEV銘柄のその後をご覧ください。


驚くのは「分野こそ違えまったく同じような流行のコンセプトを使って数十、数百の新興企業がひしめき合っているところにわざわざ飛びこんで、優良企業が創れるものだろうか」という当然の問いかけをせずに、こうした企業の高値つかみをする人が多いことです。

「実売店舗はもう古い。これからはeコマースの時代だ!」といって続々登場した企業群もまったく同じように上場来高値のあとは70~80%値下がりする企業が続出しています。


オネスト・カンパニーの場合は、オネスト(正直)と名乗りながら、不正な会計処理をしていたという陳腐なオチまで付きました。

お堅くなければやっていけない銀行という商売をしながら、名前までシリコンバレーバンクといかにもうさん臭い中堅銀行が潰れました

この銀行はスタートアップに注力していたので、新興企業がどんどん出てくるアメリカ経済の良さが損なわれるのではないかとご心配の向きもいらっしゃいます。

ですが、最近のスタートアップ、とくに創業から短期間で上場に漕ぎつけようとする企業は、始めから上場後の高値で売り抜けることを狙ったファンドマネジャーによる詐欺の道具にされている場合が多いのです。

私はむしろ、IPO市場の低迷がアメリカ経済の健全化につながることを期待しています。また、こういう詐欺同然の上場後の吹き値売りで儲けた資金が不況下の株高を支えていた面もあるので、そこで資金源のひとつが断たれるのもプラスだと思います。

不況下の株高の元凶その2、自社株買い

自分が経営している企業の株を投資家から買い上げて、市場に流通している株数を減らすことによって1株利益を大きくするのは、だれがどう見ても株価操縦です。

ですから、アメリカがまだ比較的まともな国だった頃は法律で禁止されていました。許されたのは1982年、自由競争の市場経済信奉者を自称しながら、同時にケインズ的な財政刺激で大赤字を出した不思議な大統領ロナルド・レーガンの時代です。

しかし、当初はあまりひんぱんに用いられる経営手法ではありませんでした。

堅実に利益は稼いでいるのに事業内容が地味なので株価が上がらない企業が、内部留保も潤沢で大口の投資案件もないから「うちの株は自分で買いたくなるほど割安ですよ」という投資家に対するアピールとしてやっていたぐらいです。

それが、最近では利益も順調に伸びているけど、株価はそれ以上に上がってしまって割高な人気銘柄が借金をして自社株買いをすると、さらに株価が上がったりするのですから、不思議な世界になったものです。

自社株買いと配当は既存の株主への利益還元で、設備投資や研究開発投資は将来もっと利益を増やすためにすることです。

私は、企業の将来のための投資より株主還元のほうが歓迎されるようになったのは、もう投資をしても高い収益率が望めそうな案件が払底している、つまりアメリカ経済自体の将来が暗くなっているからだろうと思っていました。

しかし、金融業界関連メディアでは自社株買いが盛んにおこなわれていることが、まるで景気の良さを示すかのように報道されてきました。次のグラフはその典型でしょう。


2021年は通年で史上最高の自社株買い実施額を記録した。2022年の第1四半期はその2021年第1四半期の約2倍の自社株買いがおこなわれた。2022年はさらに大きな史上最高額の記録をつくるに違いない」という論調です。

ところが、その2022年の第2四半期以降に、とんでもないどんでん返しが待っていたのです。


ご覧のとおり、第1四半期には手元現金の51%を自社株買いに遣っていたS&P500採用銘柄各社が、第2四半期にはたった7%に減額し、第3~第4四半期にはなんとマイナスにしてしまったのです。

資金配分で前期比とか前年同期比でマイナスはわかるけど、配分そのものがマイナスとはどういうことかと不審に思われる方もいらっしゃるでしょう。S&P500採用銘柄全体として自社株買いの金額より新株発行で自社株を売った金額のほうが多かったのです。

2022年の夏頃には、アメリカ中の各産業の一流企業を網羅したS&P500に組み入れられるような企業でも「うちの株をこの値段で売れるチャンスは、今後はもうこないかもしれない」と思い始めていたのでしょう。

ちなみに、どんなセクターの企業が自社株買いに積極的かというと、次の表のとおりです。


この表をご覧になって、何かお気づきの点はございませんか? そうです。順番は微妙に違いますが、ロビイング投資に積極的なセクターは、自社株買いにも積極的なのです。

どちらも、法律や制度を自分たちに有利にねじ曲げてでも大儲けがしたいという欲求から発していることだからでしょう。

ただ、先ほどもご紹介したとおり、自社株買いの資金配分の劇的な縮小は、自社株買いももうそろそろ株高の支えにはならなくなってきたことを意味していると思います。

最後に残った不自然な株高の元凶その3、インデックス投資

というわけで、残るはたったひとつなのですが、これがおそらくいちばん厄介で、そうとう長いこと暴落すべきアメリカ株相場を支えてしまうのではないかと思います。

アメリカ株を観察されていらした方ならどなたでもご存じのとおり、2010年代から2021年末までの米株の好調さはせいぜい7~8銘柄の収益成長率も高いけれども、株価はそれ以上にどんどん割高になっていく人気銘柄のおかげでした。

いわゆるハイテク大手です。どのくらい割高かは、次のグラフが明瞭に示しています。


ご覧のとおり、次期予想1株益に対する株価の倍率で、なんとS&P500採用銘柄全体とは6.3倍もの差があるのです。

S&P500全体では毎年の利益額が同じなら、利益で株を買ったときの資金を回収するには17.6年かかります。これもかなり割高ですが、情報テクノロジー銘柄ですと23.9年もかかるのです。しかも多少幅は変化しますが、ほぼ一貫してS&P500より割高だったのです。

「こんな割高さが長続きするはずはない」ということで、プロのファンドマネジャーが運用する投資信託は、代表的な人気銘柄FAAMNG+Tの資金配分を時価総額より少なめにしてきました。次のグラフで2016年にはもうアンダーウエイトになっていることをご確認ください。


しかし、このきわめて常識的でまっとうなアンダーウエイトが成功したのは、次のグラフがしめすとおり2021年の秋頃から2022年にかけてハイテク大手株が一斉に下落したときだけでした。


あとのほとんどの期間は、「どんなに割高だろうが、現に株価が上がっているんだからすなおに乗っていればいいんだ」と割り切っているしろうと投資家にプロの運用者たちが負け続けてきたのです。

最大の理由は、代表的な株価指数と同じ値動きをするように、まったく同じ組み入れ比率で構成したインデックスファンドが、運用者が積極的に銘柄を選んで投資するファンドより大きな資金を集めていることです。

こうしたファンドの一応の理屈をご紹介すると「経済成長が続くかぎり、株は長期保有していれば必ず値上がりする。いちばん安全、確実、手間いらずで株価上昇の恩恵を受けるには、代表的な株価指数を買ってずっと持っていればいい」ということです。

20世紀を通じて深刻な株価低迷局面はたった一度しか経験せず、しかもその1930年代不況も第二次世界大戦の戦争特需にも助けられて約10年で終わった欧米で生活している人が言うなら、話はわかります

しかし、日経平均が1989年大納会の高値をいまだに抜くことができないでいる日本で「長期保有さえしていれば株価は必ず上がる」と断言する人の心境は私にはわかりません

株価の低迷は30年以上続くことがあるのです。しかも、製造業主導の経済からサービス業主導の経済に転換した現代では、その可能性は世界中で高まっています

企業にとって株価が高いことの最大の利点は、大型設備投資のための資金調達が有利になることです。しかし、サービス業主導の経済では、製造業主導の経済ほど大型設備投資は重要ではありません

インデックス投資最大の問題点は、本来株価全般が下がるべきときにも代表的株価指数の構成銘柄には延々と資金が流入してくることです。

そのため、たとえば2021年秋から2022年一杯ハイテク大手が下がりつづけたときも、S&P500に採用されているという以外になんの取り柄もないような株が上がることによって、大暴落すべき株式市場全体が比較的穏やかな調整で済んでしまったのです。

そして、ハイテク大手は急落したけれども株式市場全体としてはそれほど大きく下げなかったあとでは「あんなつまらない銘柄が値上がりするなら、どんなに割高でもまだ高成長を続けているハイテク大手のほうがマシだ」という見直し買いが入ります。


論理としては「どうせ株式市場全体は必ず拡大し続けるのだから、時価総額も大きくて、代表的な株価指数での組み入れ比率も高い銘柄に投資すべきだ」というわけです。


株は長期間持ちつづけていれば必ず上がる」というのは論理ではなく信仰です。ただ、それだけに、かなり痛い目に遭っても「この困難に耐えてこそ、やがて極楽浄土に行き着ける」という想いがますます強烈になったりするのでしょう。

アメリカは政治、経済、社会のあらゆる面で崩壊の兆候を見せています。その中で株価だけは上がり続けるというのは幻想に過ぎなかったことが、それほど遠くない将来どなたにもおわかりいただけるような事態によって証明されるでしょう。

それが血みどろの内戦といったかたちではないことを切望します。

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コメント

スイーツ さんの投稿…
増田先生、鈴木傾城氏のようなアメリカ株を所有している株屋からすれば、日本市場は魅力的ではないにしろアメリカ株は魅力的かもしれません。

確かに、日本の株式市場と違いアメリカのそれは大転落を繰り返しつつ膨張しています。

、、、しかし、それでも大どんでん返しが来るような気もします。僕たちのような一般人は大やけどしないよう気を付けた方がいいですね。
増田悦佐 さんの投稿…
スイーツ様:
コメントありがとうございます。
1930年代大不況のまっただ中以来約90年ぶりにマネーサプライM2が減少に転じました。第二次世界大戦以降は、伸び率0%まで下がることはあっても一度も縮小には転じなかったアメリカのマネーサプライがついに縮小しはじめたのです。
金融業界にとってオニより怖いデフレの世の中は、もうすぐそこに迫っていると思います。
不動産鑑定士 髙橋 雄三 さんのコメント…
世の中では、大インフレ・国家財政破綻論が大流行と見ていましたが、「大不況」→デフレの世界との増田説に目を覚まさせられた思いです。

インフレに備えることも怠らず、大不況・デフレにも備える両睨みの姿勢・体制作りが大切なことと肝に銘じることにします。

不動産鑑定士 高橋 雄三

追伸:
インフレ・デフレ・スタッグフレーション、いずれにせよ、厳しい修羅場であることは間違いないでしょう。

限られた人世、史上最大(?)の修羅場を体験できるなんてことは、大いにラッキーなことと思えば・・・。楽しむこともできるのではないでしょうか。胆さえくくれば。

追追伸:
時代の変化・進行、政治や経済の変化を予測し、準備を整えて「待ち伏せする」、そんな「夢物語」を無い知恵を絞って考え抜きたいものだ・・・、と思っています。
スイーツ さんの投稿…
増田先生、昨日「日本型ヒーローが世界を救う!」が届きました。一気に読み上げました。2006年にもうこんな面白い本を書き上げていたのですね。百田尚樹や竹田恒泰が言っている「日本スゴイ」というコッパズカシイ本とは一線を画していますね。

(1)もし「アナと雪の女王」が公開された後だったら、この本の主旨は変わっていたのだろうか?つまり、アメリカも女性を主体的に描くようになった、前進したと書いていたのかも?

(2)日本人は実は自分たちが思っている以上に、アイドルに対して「歌唱力」と「楽曲の素晴らしさ」を求めていると思います。先日言及した「アイドル総選挙」の顔ぶれを見ても、ベスト10の半数は「スター性」だけでなく「歌唱力」「楽曲のレベル」を兼ね備えた面子が揃っていました。

もっとも、聖子や明菜ですらデビュー当時はパッと見「普通の可愛い女の子」(但し、歌唱力は最初からずば抜けていた)でした。そして、却ってアメリカや韓国のスターシステムより、日本型の方が良いと僕も思います。

増田悦佐 さんの投稿…
高橋雄三様:
コメントありがとうございます。
世の中は頭のいい人たちが、他人を働かせて儲ける奴隷制の時代から、機械を働かせて儲ける製造業の時代へ、そして借りたカネを働かせて儲ける金融業の時代へと変遷してきました。
その流れに対しては強烈な逆流となるのがデフレの時代ですが、自分が働いた稼ぎで食っていくと腹をくくれば、そんなに悪い時代ではないと思います。
もうひとつの明るい材料は、戦費を捻出することは大インフレ抜きにはできないので、どんなに大げさに騒ぎ立てても、デフレ下では大戦争は起きないことです。
増田悦佐 さんの投稿…
スイーツ様:
コメントありがとうございます。
(1)アナと雪の女王公開で私の意見が変わっていたかと言いますと、たしかに少し評価を高めたことは事実です。女性が女性のままで、男性の力を借りずに主人公たり得るという認識は、ヒロインというのはヒーローの女性形ではなく、
ヒーローの足を引っ張るだけの厄介ものという認識に比べれば大きな進歩です。
でも、残念ながら動機が不純です。LGBQT+(LGBTQ+だったかな?)賛美の時代の風潮におもねって、ヒーローはいつもマイノリティ、悪役はいつも白人男性という逆差別に陥っています。
(2)中森明菜、小泉今日子、松田聖子以外の2人はだれでしょうか? どちらにしても、たったひとりの輝くスターをつくり出すために、何千人、何万人の夢破れたスター候補を捨てていく姿勢にはとうてい賛同できません。
スイーツ さんの投稿…
増田先生、返信有難うございます。

総選挙ベストテンの顔ぶれの中には、河合奈保子・薬師丸ひろ子・故岡田有希子さんなど歌唱力にも恵まれた面子が揃っていました。また、歌唱力があるタイプでは無かったが、南野陽子・菊池桃子のように素晴らしい楽曲に恵まれた面子もランクインしていました。

特に、菊池桃子の場合「ラ・ムー」という一見黒歴史とされている時代に、素晴らしい楽曲を歌っていました。あの時代はおニャン子クラブによって「アイドルはカッコ悪い、ロックはカッコイイ」という価値観が生じていました。「ロックバンドのボーカリストになる」という設定でなければ、失笑は買わなかったと思います。

もっとも、アイドルがロックに転向するというやり方は、まず失敗しますね、11位・本田美奈子も12位・浅香唯も、それで却ってこけましたから。
増田悦佐 さんの投稿…
スイーツ様:
なるほど、なかなか充実したメンバーですね。
たしかに、アイドルで売ってからロックに転向というのは全くダメですね。
相川七瀬やプリンセスプリンセスの奥居香のように、アイドルとしてデビューしても不思議はなかったでしょうが、初めからロックシンガーで行くとつっぱたので、それなりの業績を残せたのだと思います。